1週間タダ働きする“権利”を100万円で買う世界

インターンの存在なくしてファッション業界なし


 その人気ぶりを示すように、アメリカでは人気ファッション誌のアシスタント採用を若者が競い合うというオーディション番組(リアリティTVと呼ばれる)がお茶の間人気を博したり、先日は「米ヴォーグ誌で7日間働ける権利」がチャリティオークションに出されたり(予想落札価格は1万ドル!)、華やかな世界にあこがれる若者はひけをきらない。

 もちろん企業側がこの優位な立場を利用しないはずもない。例えば米国大手出版社は、撮影時の雑用から商品貸出などのやり取り、ファッションショーなどのアポイントどり、はてはオフィス内の片付けまで、あらゆる雑用をインターンが担っているのだとか。あるファッション関係者は「インターンなしでは、ファッション業界は回らない」とまで言う。

 しかし、一方でインターンを私物化したよう働かせている所もあるという。私服のクリーニングの引き取り、煙草を買いに行かせたり。職務と無関係のパシリは、さすがに職業訓練の一環とは言い難い。

 政府や州の労働局が、「最低賃金だけでも支払うべき」といった規制を始めたら仕事を底辺で支えてくれているやる気あふれる無償インターンのおかげで、人経費をカットできている会社は、いま戦々恐々としているという。

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