リビングダイニングのテーブルに地球儀
10畳ほどのリビングダイニングの大半を占拠しているのが、家族5人が食事をする大きなテーブルです。食事用のテーブルの上に、不釣り合いなものがたくさん置かれています。
地球儀、歴史年表、塾で配られたプリント。そしてテーブルの脇には、2階の自分の部屋から持ち込まれた参考書などが入った本棚。Fくんの勉強スペースは、このダイニングテーブルだったのです。
最初は「ここは食事の場所だから」と小言を言っていたお母さんですが、ダイニングで勉強するようになってから、学校でどんどん結果を出すようになりました。
Fくん宅のダイニングテーブルではこんな会話が交わされています。たとえば、Fくんが今日、学校で習った「ソ連崩壊後のロシアについて」。
「ねえ、パパ。昔のソ連って、いまいくつの国に分かれたか、知ってる?」
「うーん、まずロシアだろ。それからウクライナ、ウズベキスタン、カザフスタン、それから、うーんと…」
「だめだなあ」と言ったFくんはテーブルの地球儀を手元に引き寄せて、「全部で15。まずここがロシアでしょ、それから…」と得意げにお父さんに説明。それを見ていたお母さんが「ここがグリーンランド?普通の地図で見るより、ずいぶん小さいわねえ」「ママ、普通の地図は、メルカトル図法といってね、北極と南極に近いほど、実際より面積が大きくなっちゃうんだよ!」
こんなふうに、Fくんがリビングで勉強することで、家族同士のコミュニケーションはどんどん密になってきました。
Fくんは家族相手に習ってきたことを“講義”したり、逆にわからないことを聞いたりすることで、勉強に対するモチベーションが大きく上がり、成績も面白いように伸びていきました。