筑波大付属駒場中に合格したF君の家、頭のよい子が育つ家【住まい編5】

リビングダイニングはFくんの『城』

 かくして、本来はリビングの“城主”であったお母さんは、その地位をFくんに引き渡しました。新たな“城主”になったFくんは、自分の城をさらに強化することにしたのです。

 食事の場に、勉強道具を持ち込んでいるFくんにとっては、すでに「食事」「勉強」の場です。そして、リビングにはラジカセや本棚もあり、家族との会話という最大の楽しみもあるので「レクレーション」の場としても機能しています。

 こうなると、残りはただ一つ。「睡眠」です。リビングをすっかり自分の部屋にしてしまったFくんは、毎晩、寝るためだけに2階の部屋のベッドに入るのが億劫になってきました。

 とうとうFくんは自分のベッドをリビングに持ち込んでしまったのです。さすがにお母さんも反対しました。しかしFくんには理由がありました。リビングダイニングの隣に両親の寝室があり、そこに両親と年の離れた弟と妹が一緒に寝ていました。

 つまり「ぼくだけ一人で2階に寝るのが、寂しいんだもん」ということだった。

 それから2年が経ち、小学6年生になったFくんは、さすがに寝るときは自分の部屋になりましたが、勉強は相変わらずリビングでやっています。家族の間でキャッチボールしていた会話からFくんはどんどん博識ぶりを発揮し、その経験が受験にも活きて、第一志望の難関校、筑波大付属駒場中学に合格しました。

 Fくん一家の不文律は、朝食と夕食はできる限り、家族全員でとるということ。リビングダイニングは、家族の大切なターミナルなのです。

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