セイコー名門創業一族・服部家のお家騒動

創業家のドンVs.創業家のプリンス

 その礼次郎氏は第5代目社長で、2001年に第一線を引退。現在でも個人筆頭株主として、また名誉会長として残っており、院政を敷いてきた。かつて、セイコーインスツルの社長だった服部純市氏の2002年の解任騒動の時には、名指しで痛烈に批判されたこともあった。

 純市氏はその際に夕刊紙の取材に次のように答えている。

 「(叔父の礼次郎氏は)セイコーの総帥の地位にしがみつこうと、自分の意のとおりに動く私の弟の真二(新社長)を後継にし、院政を敷こうとしている、もう86歳(当時)の老人です」

 近年は、礼次郎名誉会長とその腹心ともいうべき存在・鵜浦典子取締役が力を持っていたといい、2人の意向に沿わない取締役が社を去っていくケースもあった。礼次郎氏は個人名義で今でも10%近くの株式を保有、また筆頭株主にも資産管理会社の名前が並ぶ。

 昨期は最終赤字、2010年3月期も最終赤字見込みのセイコー。もはや、お家騒動をしている場合ではない。

 新社長となった真ニ氏は、礼次郎氏の甥。自らも約5%の株式を保有している。兄に、かつて「叔父の腹心」だと名指しされた真二新社長。だが、実際には叔父である名誉会長とは距離を置いていると言われ、この骨肉の争いに勝利できるかどうかに、改革の成否がかかっている。

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