「口止め料」2億7000万円を蹴った元社長(富士通・野副元社長)

社長不在の取締役会で、社長辞任を承認

 野副氏が“査問”されている同じ頃、別の部屋では、伊東千秋副会長以下、他の役員たちが待機しており、野副氏の辞任を知らされていたのだという。また、さらに別室でも、社外取締役と非常勤監査役にも説明がなされていたそうだ。そうした、中で取締役会は定刻から約40分遅れでスタートした。もちろん、その場に社長はいない。

 ◆以下野副氏の話

 取締役会が約40分遅れて始まり、わたしの辞任届けが提出され、承認されました。そして、「反社会的勢力から狙われているから生命の危険がある」と言われ、会社が用意したホテルにそのまま軟禁されるということになりました。

しかし、その後、私自身が調査した結果、そのファンドがそもそも反社会的勢力と関係がないということが分かって、仕組まれたということが理解できました。そこで2010年2月に、詐欺または錯誤があったということで辞任の意思表示を取り消して、真相究明を会社に要求することを決意しました。

 3月5日に日本の新聞(朝日新聞の一面報道)にこの内容が報道されると、翌3月6日、富士通は9月25日の私の社長交代を「病気による辞任」と発表していたのですが、これを「社長としては適格性を欠いた行為があったため」という辞任に訂正。当時、私は相談役という立場だったのですが、解任されました。

 会社は「一部報道について」という形でリリースを流し、その後4月14日になってようやく会見を開きましたが、参加した記者の方によると、全くチグハグで不十分だったと聞きました。その後も公開質問状を出したのですが、答えがないので、自浄作用を期待したのですが、まったく何の動きもないのが現状です。

1 2 3
よかったらシェアしてね!
目次
閉じる