金融危機も影響なし? 欧米富裕層が好むワイン投資の魅力【2】

素人でもきっちり利益を出せる「ワイン投資ファンド」

 ワイン投資のデメリットとしては、やはりワインの専門家ではない個人は手を出しにくいということがあげられます。ソムリエやワイン評論家ならいざ知らず、これから価値が向上していくプリムールの評価、ワインの適切な保管、売却のタイミングなどを見分けることは、素人には困難です。

 そのため、欧米には多数の「ワイン投資ファンド」が設立されています。業者が投資家から資金を集め、ワインのプロフェッショナルが選んだワインに投資し、数年を経て価格が高騰した後に投資家に利益を還元するというシステムです。日本にも、国内唯一のワイン投資ファンド運用会社「ヴァンネット」が2000年に設立され、シャトー・マルゴーやシャトー・ムートン・ロートシルトなどのボルドー5大シャトーに投資が行われています。

 もう1つのデメリットは、元々欧州の富裕層が行ってきた投資法のため、資金的にも業界の慣例的にも、新規参入のハードルが高いということです。欧州のワイン業界に縁故をもつ人でなければ業界に入ることが難しく、投資額も高め。数百万円から投資できますが、もともと資金に余裕がある富裕層のための投資法であり、一般的には手を出しにくいと言えます。

 他には、基本的に欧州で運用するため投資はユーロ建てで、円とユーロの為替変動があること。ワイン投資ファンドにおいては、ワインが熟成するまでの数年間の期間限定投資であり、永遠に預けておけるわけではないという要素もあります。

ワイン投資で儲けを考えてはいけない?

 ワイン投資ファンドは個人で行うよりもリスクが少ないため、利益を追求したい富裕層には魅力的です。しかし実際に実物のワインを入手できるわけではないため、ワイン好きだからワイン投資をする、という人にとっては物足りないかもしれません。

 またワインは分散投資先としては理想的ですが、「ワイン投資はあくまで富裕層が余剰資金を使って行うものであり、儲けを考えて行うものではない」というワイン評論家もいます。ワインは楽しむことが最優先で、儲けを考えるならば他に投資するべき、とのこと。

 日本やアジアの富裕層は、5大シャトーなどの有名ワインばかりに目が行きがちです。しかし現在過小評価されているワインの中にも、数十年後にプレミアムワインとして化けるワインは多数あると考えられています。自分好みのワインを購入し、その価値が後に高まればラッキーで、値打ちが下がれば残念。ワイン投資は、それくらいの気持ちの余裕を持って、長い目でゆったり楽しみながら取り組むことが一番なのかもしれません。まさに富裕層だからこそできる、趣味と実益を兼ねた投資法ではないでしょうか。

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