中国不動産バブル、都市から地方へ

 中国の不動産投資にまた新しい流れが起きている。都市部では、富裕層が複数の物件を保有するなど不動産投資が過熱し、安定した経済成長のためには、不動産市場の鎮静化が今大きな課題となっている。上海市では中国で初となる固定資産税の導入に乗り出すなど、様々な政策が検討されている。

 こうした規制から逃れようと、一部の不動産投資家は大都市を離れ、地方都市に投資の場を求める人たちも出てきた。中国内陸部、雲南省の省都・昆明市に4月末、10人余りの温州商人が訪れた。温州商人は世界中で不動産投機を行うことで知られている。

 「彼らの目的は、昆明市の高級住宅街と、別荘です」と地元の不動産関係者。不動産の調整が行われて以降、温州や寧波からの客が増え、全体の3割にも上るという。政府の不動産政策の影響は少ないだろうとの見方から、彼らの関心の多くはもっぱら別荘に集まっている。

 価格の求めやすさも、不動産投資を行う富裕層には魅力だ。雲南政府は4月に不動産投資を抑制する政策を打ち出したが、元の不動産価格が安いため、こうした“増税分”は大きな壁にはなっていないのだ。

 この影響から昆明市では、不動産の値上がりが激しく今年1月から5月までに25%近く上昇した。一方で、地域住民の収入は不動産価格に追い付いておらず、これも大きな問題になりつつあるのが現状だ。

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