バリの休日【サーフィン編】

 「神々の島」と呼ばれるバリの人々はバリ・ヒンドゥーという信仰を奉じている。道々には毎朝お供え物が置かれ、大小の寺院が点在し、街は神聖な雰囲気に包まれている。また、カルデラ湖を持つキンタマーニ高原など、風光明媚な面もある。工芸品、絵画、ダンスなど文化・芸術面でも見どころ満載だ。こんな観光地の優等生みたいなバリの、もう一つの魅力がサーフィンである。


神聖な雰囲気が満ちあふれ、人々を魅了する

 今回は我が親友であり波乗り師匠と二人でバリ入り。現地では友人のキナが出迎えてくれる。彼はプロ・サーファーとして現地のみならず日本でも活躍し、現在ではサーフ・ガイド、観光、レストラン経営も手がける青年実業家だ。到着早速、彼がサヌールにオープンしたタイ・フード・レストランのULU(ウル)で食事。京都で修行したというバリ人シェフの料理は、日本人のツボもよく押さえている。日本人が美味しいと思うくらいだから、当たり前のように白人のお客もいて、みな舌鼓を打つ。

タイ料理レストランULU(ウル)は外せない!

 バリでのサーフィンは4月~10月の乾期は南西季節風が吹き島の西側ポイント、11月~3月の雨期は北西季節風が吹き東側のポイントが良いとされている。が、実際は風向きや潮の満ち引きにより、その時々で良いポイントが変り、年中どこかしらでサーフィンができる。これがバリの最大の魅力なのだ。

レギャンの波と空は底抜けに明るかった

 そして、最も重要なポイントはサーフ・ガイドの存在だ。我々が仕事の都合に合わせて取れる休みはせいぜい1週間程度だろう。その限られた期間で、良い波を当てることはあまりに難しい。しかし、有能な現地ガイドがいれば、知識・経験・ネットワークを駆使して、サーフィン・スキルに合ったスポットを探してくれるのだ。彼らはスポットの特徴はもちろん、波の選び方に至るまできめ細かくガイドしてくれる。たまにしか行けない初・中級者には本当にありがたい。共に行動すればローカルサーファーとのもめ事も皆無だ。サーフトリップの成否を握る鍵は、ガイド選びにありと断言できる。

 有り難いことにバリのガイドは働き者である。朝早く、ピックアップに来て共にサーフィンをし、美味しいランチの店に連れていってくれ、望むならば午後もまたサーフィンをし、晩のお勧めレストランまで付き合ってくれる。まさに至れり尽くせりなのである。


左が我らがスーパーガイド、で右は???

 今回は早朝の風が無い時間帯を狙って、ハイアット・リーフ、スランガンで極上の波を堪能した。風が吹き始めると、オフショアになる島の反対側に向かい、チャングー、レギャンで第二ラウンドに挑むパターンとなった。途中、ビンタン&ローカル・フード、買い物なども楽しめ、実に盛りだくさんだ。

 そのなかでも筆者達がホームポイントとしているスポットを紹介しよう。サヌールの外資系ホテル前に広がるリーフ。その岸からかろうじて肉眼で確認できる1.5~2km先に割れる波がサーフ・ポイントだ。小さなボートに乗り、ポイントを目指す。わずか5分程度で次第に見えてくるラインナップの波に、心地よい緊張と興奮が高まる。ブレークポイント近くで船を止め、サーフボードを放り投げ、自身も飛び込む。南国の海水が柔らかく身体を受け止めてくれる。リーシュ(流れ止め)を水中でつけるのがもどかしい。急いでパドルして、我先にと無人の波頭に向かってゆく。波の裏側からエントリー(入水)するその光景は、ボートならではの醍醐味だ。もうその後は、無我夢中で波に乗るばかりだ。


仲間とプチ・ボートトリップ

 疲れたり、波のコンディションが悪くなったら、ガツガツせずにさっさと上がる。日本と違って、毎日良い波があるのだからなんの未練もない。ボートで岸に戻ると、目の前にあるオープンエアのレストランに直行。バリ人の友人が経営するこのレストランは、我々のオアシスだ。何はなくともまずはバリのビール、ビンタンで乾杯!ナシゴレンやミゴレンなど、インドネシア料理も美味しい。ローカル達はみな気さくで、日本語も話すので、まるで我が家にいるようにくつろげる。閉鎖的な雰囲気ではなく、見知らぬ者も暖かく受け入れてくれる場所だ。

気さくなローカル達。というかお前ら仕事しなくていいのか?

 バリでサーフィンと聞くと、上級者の世界と思われがちだが、それはまったくの誤解。今回も日をずらして日本の仲間が合流したが、女性あり初心者ありロング・ボードありと様々。そのなかでも経験が浅い者ほど、波の良さや楽しさに素直に感動・高揚し、大いに楽しんでいた。バリの海はエキスパートのみのものにあらず。実に懐が深いのだ。コレを楽しまずしてなんとする? 良いことを書きすぎて日本人サーファーでこれ以上混んだら困るなあ、などと心配しつつも、やはり皆さんにこの素晴らしさをお伝えしたい思いであえて申し上げる。日本の波で練習したら、是非バリの最高の波に乗っていただきたい。その感動を共有できる日を心からお待ちしている。

さあ、この先で割れる波へ!

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