富裕層は文化人か?!土の匂いと文化とは?

 坂の上にあるこの老舗ホテルに入ると、いつも頭がすっきりする。さっきまでのボンヤリ、ねむーい感じがウソみたいだ。

 ここでは、館内のエアーにマイナスイオンと酸素がブレンドされていると言う。納得の爽やかフレッシュエアーだ。坂の下では商店街でお祭りのドンドカやっているが、ここだけクワイエットなアーバンリゾート気分を味わえる。今日は物語性のありそうな、少なくとも20-30年はそこに鎮座しているであろうライティングデスク前に席をとった。

 なんだか作家先生気分! オーダーを聞くボーイが来たが、メニューを見なくてもここではいつも野菜のフレッシュジュースと決めている。オーダーしてからその都度絞る丁寧な仕事で、10分程待たされて、黄金色でシルクの舌触りのジュースが運ばれてきた。入っているのは人参、キャベツ、リンゴだが、それぞれの素材の風味が生かされたままブレンドされている。素晴らしい舌触り!! 土地の香りまでしてくる。

 前回までも色々食や健康について書いてきたが、そろそろ元々書こうと思っていた文化の話に行かないと……でも文化と言えば、土のことと関係が深い。文化と辞典で引けば、すぐcultureと出てきて、これがcultivate と言えば耕作、そう土ですよ。これが基本!だからどうしても、文化の話の前フリは食の話になっちゃう。コンサートホールだって、美術館だって昨今、心地よい飲食スペースなしでは語れないでしょう?!

 そうそう、最近有名建築家のデザインした、青山の美術館に足を運んだ。エントランスは茶室の露地を思わせる長い長いアプローチでイメージは格子。この建築家はマスコミにも度々登場するが、デザイン手法はパターン化している。話題の銀座の伝統文化を継承しながらも革新すべきであった、あの施設の壁面デザインも格子模様。ドラマによく登場する広告代理店のエントランス(玄関まわりの業界用語)も同じく格子イメージ。六本木の美術館もこれまた……以前バブル期に海外の有名建築家が手がけた、有楽町の公共施設のインテリアの壁面がこれだった。

 まあ日本文化には便利な言葉がある。<写し>だ。どこそこの<写し>と言えば許される。(もともと日本文化で完全オリジナルなんてあったのか?……あるにはあるがとても少ない。まあ、これについてはまた話すことにしよう)コピーではないと言う便利な免罪符だ。

 もとい! 青山の美術館に戻ろう。少し気を取り直して、気分を変え庭のカフェに向かう。露地を歩けば、抹茶なんかを一服期待したいが……メューを見たが見当たらない。抹茶風のはあるが……ありえないデスヨ。食と美術や建築は響き合わないと文化は形成されて行かないですネ。どうも専門分野になると辛口になっていけませんヤ。坂の上のホテルも居心地が良すぎて、つい長居してしまいそう……お後がよろしいようなので……今日はここまでに。


ミニコラム【プロフェッサーの呟き】

 うなぎはこの頃食べないが、頼んでからすぐ持ってくるうなぎ屋に、ろくなところは無いのは周知の通りです。フレッシュジュースと記載があるのに、すぐ持ってくるところは絶対避けたいところです。採れたフルーツや野菜、土の匂いがダイレクトに感じられるかどいうかがポイントですが、大抵のホテルのレストランや飲食店がアウトのところ、ここのジュースはOK!! パーフェクト! ビューティフル!!

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