格差がなさすぎる日本社会
52歳で引退した田中さんを羨ましがって時々、面と向かって冗談交じりに、こういう風に「本音」を面と向かって話す人もいるのだという。そんなに羨ましいのに、なぜ自分は実行しようとしないのだろうか。そこには理由が存在する。田中さんは次のように分析した。
◆以下、田中氏の話
まず日本では、誰もが何の疑問も持たずに定年退職まで大過なく働くことを前提にしています。一般的に給与体系は緩やかな上昇賃金カーブで、後払い賃金的な退職金は永年勤続者に厚い企業が多いと思います。しかし、これではアーリーリタイアメントすることは難しいと言わざるを得ないでしょう。
しかも、年功序列的な評価が横行しているので、成果や実績に対する格差が少ないのではないでしょうか。格差社会だという方もいらっしゃいますが、欧米に比べたら極めて悪平等が横行していると思っています。例えばアメリカのCEOは、一般労働者の数百倍の年俸を貰っています。日本の平均賃金を300万円としても数億円にあたります。年俸はマーケットバリューですから、もっと格差をつけて年収1億円の方が居出ても不思議ではないでしょうね。
差を付けることで、ワークライフバランスの手段も増えると思います。毎日を自由に暮らし休みもたっぷり取るけれども年俸が少ないタイプ。個人の趣味よりも困難なビジネスで成果を上げることを優先し、アーリーリタイアを目指すタイプ。
例えば引退する時に、金融資産や不動産などを合わせて2億円あったとしましょう。1年の生活費を500万円とするならば、年金を無視しても40年間の生活費を賄うことができます。500万円の生活費が低いと思われるかもしれませんが、70歳を過ぎたら、そんなには使えないだろうし…。微々たる額でしょうが利息や年金もありますし、私には教育費や住居費がある訳でもないので充分な金額です。必要な金額は、人それぞれでしょう。