世界全体の富裕層資産、金融危機前の水準に戻る

 米ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が10日に発表した富裕層レポートによると、世界の富裕層の保有資産が昨年11.5%増加し、金融危機前の2007年の水準にほぼ戻ったことがわかった。特に富裕層が増加したのはシンガポールだった。

 世界の富裕層の資産総額は111兆5000億ドルで、2007年末のピーク時の111兆6000億ドルには及ばないが、金融危機前とほぼ同水準に戻った。しかし、資産運用による収入は平均7.3%減少。また米国と日本だけが、2007年時の資産レベルに戻っていなかったという。

 資産100万ドル以上の富裕層の世帯数は世界全体で約14%増加し、1120万世帯となった。富裕層世帯が最も増えたのはシンガポールで35%増、次にマレーシア、スロバキア、中国が続いた。富裕層世帯が最も多いのは米国で472万世帯で、日本、中国、イギリスが続いた。

 資産額が最も多いのはヨーロッパの37兆1000億ドルで、世界の富の3分の1を保有していることになる。資産増加額が最大だったのは米国とカナダの北米地域で、4兆6000億ドル増の35兆1000億ドル。アジア太平洋地域の資産は22%増加で、17兆1000億ドルだった。

 今後、日本を除くアジア太平洋地域の資産は他地域の2倍のペースで増加し、世界全体の資産に占める割合は2009年の15%から、2014年には20%まで上昇すると予想されている。

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