中国の大富豪がいまさら古典を学ぶのはなぜか?

財産は死後には持っていけない

 講義は午後3時から始まる。南氏は登壇すると「国家の発展は今後どうなるのか」「いわゆる学問はどこにあるのか?」「個人の将来はどうなるのか」といった問題を解決するために、『中庸』と『庄子』について講義する。

 講義では、まず富豪たちが『中庸』の中の一段落を音読し、そのあと南氏が解説を加える、という形で進んだ。

 「リーダーや社長は、その組織で働く人たちの好みを知っておかなくてはいけません。そして、自分をいかに修正するかについて理解しておく必要があります…」こうして約1時間の講義が終わると休憩時間。休憩室でお茶を飲んだり煙草を吸ったりしているが、大多数の富豪たちは堂内の書店へ。ここでは、南氏の著書を手にすることができるからだ。

 休憩後、今度は『庄子』の講義が始まった。テーマな様々な議論を呼びそうな「財産を海外に移すことについて」。南氏が90年余りの人生から導き出した答えは「多くの財産は死後の世界には持っていけず、最終的には自分のものにはならないのだ」というもの。この答えを聞いた富豪の中からは笑い声が漏れていた。

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