中国富豪は初ジェット機でいきなり「ガルフG550」を買う

 今月マカオで開催された「Asian Business Aviation conference(ABACE)」は、中国に牽引される形で、アジアのビジネスジェット機市場が急成長していることを印象付けた。中国富豪は現金一括でジェット機を購入する人が多く、また初めてのジェット機でいきなり最高級ラインの巨大なビジネスジェット機を購入する傾向があるのだという。

 今年のABACEには12社以上のビジネスジェット機メーカーやチャーター会社などが参加。セスナ社の小型ジェット機「Cessna XLS+」からエンブラエル社の大型ジェット機「Embraer Lineage 1000」、ガルフストリーム社の「Gulfstream G550」まで、各社製品とサービスについての展示が行われた。

 参加した米航空機メーカーのホーカー・ビーチクラフト社は、現在インドと中国に焦点を絞って販売戦略を立てており、今年に入って中国で計5機の「Hawker 4000」を販売した。しかも、5機の買い手すべてが現金購入だったという。

 またガルフストリーム社の国際セールス部門副部長のロジャース・ペリー氏によると、米国の富豪たちは最初に小型のビジネスジェット機を購入し、その後大きなジェット機へとアップグレードさせていくのが一般的だが、中国の富豪はその反対だという。「中国市場では、最初の飛行機にG550のような大型ビジネスジェット機を選ぶ富豪が多いです。彼らはバッグや時計で最高級品を選ぶのと同じように、ジェット機でも初めから最先端の製品が欲しいのです。」とペリー氏は語っている。

 エアバス社によると、現在アジア太平洋地域にあるビジネスジェット機は約600機で、そのうち半数は東アジア、約100機が中国にある。米国の1万1000機にはまだまだ及ばないものの、アジアの需要はここ数年で急拡大した。

 中国ではこれまで、企業も個人もビジネスジェット機を所有するという発想がなかった。しかし近年、中国政府はビジネスジェット機は企業の成長を助け、国にとって価値があるということを認識したため、厳しい航空規制を徐々に緩和する方針に転じている。中国国内では新空港も次々に建設されており、今後さらに中国社会にビジネスジェットが浸透していくことが予想される。

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