あじさいと古寺をめぐる 北鎌倉 円

 新緑の季節、ふと思いついて北鎌倉へ。雨上がりだったことも手伝って冴え渡る木々の色にしばしうっとりと我を忘れつつ、泰然自若たる自然に敬意を抱く。




 道すがら考えたのは“ふと思いついて”、小旅行へ行けるのは恵まれた環境であり、このコラムのテーマでもある“富裕層らしさ”、とは、単純に考えるならば時間と金銭の自由を享受できることではないかということ。それゆえに、ほんの少しの金銭の自由と時間があるならば金額の多少や時の長短にかかわらず、人間は誰でも富裕層になる瞬間や時期があると考える。瞬間はどれも尊く儚いもので必ず移りゆくものであり、苦しみはそこに執着することから産まれる。柄にもなく色々思索していると急にあらわれた目前の仏像に深々と頭を垂れ、気づけばご飯の時間。


 今回は、北鎌倉駅にほぼ隣接する、懐石 円 です。小さな階段をあがると、そこはお茶室のような日本間が広がっています。こぢんまりとした10席と少しのお店の雰囲気はとても良いです。


先付け 魚素麺とじゅんさい
季節感溢れる一皿。正直お出汁の味は老舗のそれとは異なりますが、観光地だということを考慮すると十分だと思います。


刺身 黒鮪
こちらも先付けと同様の感想といったところ。


焼き物 鰆の山椒酢
こちらは初夏らしい山椒の酢とサッと焼いた鰆がとてもよくあっていました。


煮物 石川芋とにしん
家庭的なお味でした。


お食事
お米がとても美味しかったです。水が良いせいでしょうか?


デザート
お菓子屋なのかと思うくらい、このカボチャプリンは美味しかった。


 こちらのお店は大変ご繁盛ですので、行かれる方はご予約をおすすめします。わたしは隣の喫茶店で小一時間待ってから入りました。鎌倉特集の雑誌などには大抵掲載されているようです。

 蛇足ですが、近日は、都心のホテルが平日とても空いているのに対して、鎌倉はどこへいっても混雑しており、古寺・古都が流行していることを感じました。また、料理屋や喫茶店など、飲食店にいるお客さんは、殆どが自分と同じように東京都市部からやってきているようです。

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