世界的エリート養成校、名門ボーディングスクールへ進学する方法【1】

1年間山にこもって心身を鍛錬する「ティンバートッププログラム」


チャールズ皇太子は1966年、17歳の時に ティンバートッププログラムを経験した
「GGSのミドルスクールは5年制で、5年生から9年生までの生徒が在籍します。そのうち9年生だけ、男女ともティンバートップという高地にあるキャンパスに移動します。1学年全員が1人残らず山の上にこもり、一年間のサバイバル生活を送ります。外の世界から遮断された環境の中で、大自然と親しみながら規律正しく暮らし、勉学と集団生活に没頭します。普通のボーディングスクールは週末になれば外出もできますが、ティンバートップではそれも許されません。」

-厳しい規律の中で一年間こもるということに意味があるのですか?

「富裕層の家庭ではしばしばリーダー教育の一環として、我が子にあえて適度な苦難を与え、厳しい環境下で鍛錬させることに意義を見出す親がいます。この一年間だけを経験するためにGGSに来る生徒も多いですよ。ティンバートップを目指して、オーストラリア全土はむろん、ヨーロッパやアメリカ、ドバイ、香港、タイ、マレーシアなど世界中から生徒が集まってきます。娘2人が行った時には、オランダの石油会社やアジアの航空会社、アメリカの有名チョコレートメーカーなど、誰もが知っている世界的企業経営者のお子様がご一緒でした。」

 かなりの生徒がミドルスクールの集大成であるティンバートッププログラムに照準を合わせて入学するため、ティンバートップを修了してシニアスクール(=ハイスクール)に進級する際には、帰国したり欧米のボーディングスクールへと去る留学生が出てきます。その分の空席が生じるので、シニアスクールはミドルスクールより競争倍率が減って少し手が届きやすくなるということですが、「やはりGGSの醍醐味はミドルスクール」だと若草さんは強調します。

自分の馬を学校にもってくる生徒も……

-GGSの生徒はどのような日常生活を送っているのですか?

「ハリーポッターに出てくる全寮制学校さながらの毎日です。広大な敷地に点在するハウスと呼ばれる寮には1つ1つ名前とカラーが決まっていて、スポーツシーンで着用するユニフォームはもとより女の子の場合は髪をまとめるリボンやカチューシャに至るまで一斉にお揃いのハウスカラーのを使います。娘2人が入ったのは『コンウェア(通称コニー)』と名付けられたミドルスクールの女子寮でした。

コニーはティンバートップを除く5~8年生の生徒で構成されていました。それら4学年を縦割りにして3~4人ずつドーム(小部屋)に分け、8年生の生徒がドームリーダーに任命されます。全員がまるで姉妹のように親しく接し合い、長く在籍するうちに妹の立場も姉の立場も順番に経験できる仕組みになっています。寮生活を共に過ごした仲間とは絶大な信頼関係が育まれ、卒業後も強い絆で結ばれた一生の友人同士になります。母親代わりを務めてくださる優しい先生と、身の回りのお世話をしてくれるハウスメードも、寮に住み込んでいました。」

-生徒は、やはり富裕層の家庭の子の割合が高いのでしょうか。

「そうですね。でも、一定の割合で、経済的に恵まれないオーストラリアの先住民アボリジニの生徒に奨学金を出して受け容れていました。GGSはオーストラリアでは学費が突出して高いだけに、スケールの大きなエピソードをよく聞かされました。例えば、お父さんから『誕生日プレゼントは何がいい?』と尋ねられたお友達が『馬が欲しい!』と答えると、寮に本物の馬が届けられたりします。GGSでは乗馬用に自分の馬を持ち込むことが許されていて、クラスメイトの何人かが自分の馬を学校に常備していました。課外授業は乗馬の他に、ポロやホッケー、テニスなどのスポーツから、音楽、芸術まで、望めば何でもできます。ビクトリア湾に面したグラウンドの一端にはヨットハーバーまであり、プライベートビーチでカヌーやサーフィンを習うこともできるんです。

-GGSの授業の特徴を教えてください。

「学校の授業は、少人数・進達度別クラス編成が徹底され、得意分野も苦手分野も持てる力を存分に発揮できるような丁寧な指導をしてくださいましたね。外国語科目にしても、フランス語・ドイツ語・スペイン語・日本語・中国語の5科目ある上、おのおの初級・中級・上級クラスが用意され、その中から好きな2科目を並行して学ぶことができました。あらゆる面でパーソナルケアが非常に充実していて、個々の生徒の志向やレベルに合わせてやりたいことをアレンジしてくれました。まさに“夢の学校”と比喩されるのに相応しく、親の私のほうが10代に戻って通ってみたい気持ちになるような、素敵な学校でした。父母会のパーティーも華やかでしたね。」

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