「二代目筆談ホステス」早乙女由香さんの壮絶半生(1)

聴力は測定不能


早乙女由香さん
 サッカーW杯南アフリカ大会で知られることになった楽器ブブセラ。音量は130デシベルの騒音レベルと言われているが、早乙女由香さんには、そのレベルの音も聞こえない。音を知らないまま歩んできたここまでの人生。どんなものだったのだろう。

 ―聴覚障害はどの程度でしょうか
 生まれつき、音を知らないので、聞こえないことがもう普通になっていたんですね。一口に聴覚障害と言っても、聴力のレベルの差があって、ほとんどの方は60~100です。でも、わたしはデシベルで表すと130デシベルのスケールアウト(測定不能)だと診断されました。スケールアウトはあまりいないそうです。

 ―ご家族の支えは
(聴覚障害と)診断されてから、この子にはまったく音が入ってこないから、いくら口話を教えても無理だということになって、珍しい指文字、手話教育を行っている東京の足立ろう学校に、わたしを通わせるために、建てたばかりの家を出て上京しました。

 父も仕事をやめて、母も看護婦さんをやめて、兄も急に学校を転校することになりました。わたしは音が聞こえないということがわかってからは、家族のみんながわたし中心に動いてくれました。

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