学校図書館レポート 麻布中学校 その1 頭のよい子が育つ本棚【4】

名作マンガを入口に読書の楽しさを導いていく

 麻布中学の図書館では、最初に目につくところにあるのが回転式の本棚。「ブラック・ジャック」などの手塚治虫の作品を中心に、横山光輝の歴史マンガなど、マンガの名作が並んでいました。

 「芥川龍之介や宮沢賢治などを勧めても、今の生徒はまず読みません。ゲーム攻略本やライトノベルが生徒にとっては『本』だと思っているのです。読んでもらいたい近代文学の名作などは受験のために読んだ、というのが現状です。

 ただしマンガはたっぷり読んでいます(笑)。図書館の貸し出し冊数でも、中1の場合は1~5位までマンガで占められています。図書館に置くのは“古典マンガ“に限っていますが、それを全巻読破するのが中1の傾向。学校図書館にマンガを置くことについては、賛否両論ありますが、マンガから読書へと、必ずつながっていくものだと考えています」

 「とはいえ、学校側で欠けている部分を補うことも必要です。とくに大事なのが中1の1学期。国語課では星新一の作品から入ります。ショートショートなので、長い物語を読んだことのない生徒でも入りやすい。そして徐々に、芥川や志賀直哉を読ませていくわけです。中1の夏休みには課題で作文を書かせますが、最初は有無を言わせず強制。そうやって、どこかで本が好きになるように気持ちを引き出して、読書へと導いていきたいと思っています」(氷上校長)

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