まずは大人が本を楽しみ、そこから子どもに楽しさを伝えていく
麻布中学の図書館
四十万さんは笑いながら話す先生方の様子から、イベント企画で一番楽しんでいるのは教師側ではないかと感じました。教師が楽しくないと生徒も楽しめない。そんな信念から図書館の活動に力を入れる麻布の在り方は、まずは大人が本を楽しむということを実践しているようです。
氷上校長(2006年当時)は、中学2、3年と大きくなるにつれて本が好きになるかどうかのカギは、「ワクワク、ドキドキ」の読書体験だと言います。氷上校長自身、『怪人二十面相』『十五少年漂流記』『宝島』などの作品で、ワクワク、ドキドキの読書体験をしてきたそうです。
「アニメやゲームに慣れ親しんだ今の小中学生に、無理やり『十五少年漂流記』を読ませてもワクワクはしないと思います。私たちのころは読書が今のゲームのようなものだったのでしょう。だから、焦らずだんだんと活字に触れさせていくというのが肝心じゃないでしょうか。
うちの子は全然本を読まないと、憂うことはありません。読書習慣は、マンガやライトノベルからでもつながってきます。まずはどこでもいいから本の楽しさを伝えていく。これが大人の役割なのではないでしょうか」(氷上校長)