学校図書館レポート カリタス女子中学校 その1 頭のよい子が育つ本棚【8】

子どもの興味を引く本の置き方

 もともと同校は本好きの生徒が多いとのことですが、新しい図書館が完成してから、初年度は1.7倍、2年目は2倍近くまで利用者が増えました。専任の司書教諭の努力もあり、図書館が生き生きとした空間になっているそうです。カリタスのキャンパスは、中学高等学校が併設されているので、中学生、高校生が共用する図書館には、本の置き方にも工夫がされています。

 図書館を入ってすぐのところには、中学生対象に比較的やさしい本が並んだ『小学校のときに読んだことがありますか?』というコーナーがあります。そして奥に行くほど高校生向けの本が並んでいます。手前にある本ほど回転率がよく、作家だとあさのあつこや森絵都などが人気だそうです。

 「お母さんが読むから、と借りていく生徒も多いですよ。親子で同じ本を読むのはとてもいいことで、読み終わったときに親子で話す、そこからコミュニケーションが生まれます。家族全員で1冊の本を読むのもいいですね。そうやって感想を伝えあって欲しいのです。

 1冊で終わるのではなく、さらに次の読書につなげていくことを目指してほしいと思っています。私自身は、子どものために全集を揃えることはしませんでした。子どもがある作家の本を欲しがると、『1冊では作家について語れないけれど、何冊か読めば語れるよ』と言って、そのタイトルの他に2、3冊買っておきました。

 日常の中に本があれば、いつか読んでくれます。子どもの手の届くところに本を置いておく。それは家庭も学校図書館も同じです。そうやって本に興味を持つ生徒が一人生まれ、さらに友達がまたその友達がと、図書館を訪ねる子どもが増えていきます。

 本を読む子と読まない子の差は、語彙力(ボキャブラリー)に表れます。それは文章を書くときだけではなく、普通の会話にも表れます。本をよく読む生徒は、表現も豊かなんですね。表現力はコミュニケーション能力につながっていきます。本校としては、今後も図書館を中心として、本好きの生徒を増やしていきたいと思っています」(村井校長)

 次回もカリタス女子中学校の図書館を紹介します。

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