不世出のファンドマネージャー・ドラッケンミラー氏が引退

 世界有数の名ヘッジファンドマネージャーのスタンレー・ドラッケンミラー氏(57、Stanley Druckenmiller)が、自身が運営するデュケーヌ・キャピタル(Duquesne Capital)を閉鎖し、業界から身を引く意思を表明した。

 米紙NYタイムズによると、投資家に宛てた書簡で、自身のファンドがあまりにも大きくなりすぎ、ここ数年は自身が思うようなリターンを上げることができていない、とその理由を説明していたという。現在は300億ドルを運用している。

 ドラッケンミラー氏は、著名投資家ジョージ・ソロス氏の門を叩き、クォンタムファンドの運用責任者にまで上り詰め、ポンドの投げ売りで莫大な利益をもたらしたことは今や伝説化している。

 ソロス氏にも常に一目置かれ厳しく非難されることも多々あった。「正しいマーケットの見通しを持っていたにもかかわらず、その機会を最大限に利用しなかった時」だという。それはドラッケンミラー氏の相場の読みがあまりにも的確であることを示す逸話でもある。

 30~40%のリターンで満足するのではなく、見通しが正しいのなら100%を目指すのが正しいという。そうした相場観と運用姿勢によって、年率30%以上を達成してきていたが、最近3年間のリターンは30%を達成できていなかったことが、自身のプロ意識として許せなかったようだ。しかも、今年ここまでは初めてマイナスとなっている。

 ドラッケンミラー氏はブルームバーグのインタビューに「この30年間、顧客の資金を運用できたことは、わたしに大きな喜びをもたらしてくれた」と振り返っていた。

 ドラッケンミラー氏はミシガン大学の博士課程を修了前にピッツバーグナショナル銀行から金融マンとしてのキャリアをスタート。1981年にデュケーヌ・キャピタルを設立。88年に、ソロスファンドマネジメント入り。2000年に独立してからも驚異的なパフォーマンスを上げ続けた。


スタンレー・ドラッケンミラー氏(右)

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