農業で起業する中国の若者

 中国の若者の起業と言えば、これまで上海など都市部で自分の店を開くか、IT関連ビジネスを展開するかというのがほとんど。しかし、今、田舎に行って起業する学生が増えている。目的は農業ビジネスで、北京市郊外の大興区では、近年移り住んできた若者が既に50人以上といわれている。

 そのうちの一人、何暁萌(か ぎょうほう)さんは1986年北京生まれ。現在24歳の彼女も専門学校を卒業後、大興区で起業した。金縁の眼鏡に“みつ編み”スタイルだが、すでに27人の従業員を抱える会社社長。2008年11月に起業して約2年、現在36個のビニールハウスを所有し、年間24万元(約312万円)を稼いでいる。

 何さんも普通に就職する予定だったが、就職難を目の当たりにして考えを変えたという。例えば、同じ宿舎の友人は就職したものの、月にたった800元(約1万円程)しか給料をもらえず、自分の家を借りられないばかりか食事さえままならなかった。これを見て就職する選択肢を捨て起業を考えた。しかも最後に選んだのは、政府の補助が受けられる農業だ。

 創業資金は国からの補助と両親の支援。もし24個のビニールハウスを管理した場合、国から1つのビニールハウスごとに4000元(約5万2000円)の補助を受けられる。何さんは農業については素人。しかし、学校で経営管理を学んだことが今の仕事に役立っていると話す。

 田舎での起業は、様々な手続きに時間がかかりすぎる欠点もあるが、何さんは着実に事業を拡大し、今は有機野菜の商標を申請中だ。

 経済発展著しい上海市郊外でも、同じような動きが。上海市内から約1時間の祟明島で農業ビジネスを始めたのは、上海交通大学でEMBAを修めた若者だ。「農薬を使っていない安全で健康的な野菜を多くの人に食べてもらいたい」という純粋な気持ちから創業したという。農場では2009年4月に野菜を植え始めて以来、100を超える品種を育てていて、80人程の農夫が働いている。

 中国では現在、有機野菜は通常の3から4倍程の値段で売られているというが、ある外資系のスーパーでは売上高は毎年平均30%程度伸びていて、野菜全体の売上の50%を占めているという。中国でも求められる“食の安全”。“農業”という新しい分野に挑戦する中国の若者たちは、着実にそれに応えようとしているようだ。

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