ムハマド・ユヌス氏に聞く、グラミン銀行の奇跡(前編)

銀行の逆をやればうまくいく

 では、銀行がこの問題を解決したらどうか? 銀行に相談してみました。すると「とんでもない」「ダメだ」という答えが返ってきたのです。そこで私が保証人になることを申し出ると「検討しましょう」となったのです。2カ月せっせと通ったので、彼らも飽きたのでしょう。それで、お金を村人に配ると上手くいきました。これがマイクロクレジット(無担保の少額ローン)の起源なんです。

 ただ銀行は渋るので、それならいっそ、自分が銀行を立ち上げようと考えたのです。1976年から当局の説得を始めました。それが1983年まで続きました。グラミン銀行は村の銀行という意味です。現在では800万人が借りています。その97%が女性、65%の人々が貧困から脱出できました。

 わたしは銀行家ではないから、既存のルールに縛られることもなかった。それが最大のメリットでした。ルールを作る時は銀行の反対をやればいい。そうすればうまくいくんです。貧しい人からは担保も取れませんから当然、担保もなしです。グラミン銀行は、その人の信用力も過去にも興味がなく、彼らの将来に興味があるだけです。

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