ムハマド・ユヌス氏に聞く、グラミン銀行の奇跡(前編)

世界中の企業の技術を使えば貧困はなくなる

 ビジネスという概念はまだまだ人間を掴みきれていないですね。みんな利益の極大化だけを教え込まれて、人間を一次元的に捉えすぎています。人間はロボットではなく、もっと色んな可能性があるはずです。

 例えば、グラミン銀行はダノン(仏の食品メーカー)と合弁会社を立ち上げヨーグルトを作っています。これはバングラデシュの栄養不良の子供をなくしたい、ということで始めたのです。安いヨーグルトを作ったら、子供たちは買って食べることができるからです。

 要は種をまけばいいんです。世界中の企業はあらゆる技術を持っています。企業は今、技術で利益をあげて、それをお金儲けに使っています。その技術を貧困の解決のために使えば、そういった問題はなくなるはずです。
                        (つづく)

 ムハマド・ユヌス氏 1940年6月28日、バングラデシュ生まれ。ダッカ大学を卒業後、フルブライト奨学金を得て渡米。1969年にヴァンタービルト大学で経済博士号を取得した。祖国独立後の1972年に帰国し、チッタゴン大学経済学部長に就任。1976年にグラミン銀行プロジェクトをジョブラ村にて開始し、1983年に法律により独立銀行となった。2006年、グラミン銀行と共にノーベル平和賞を受賞した。

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