現役医師が経営する赤字覚悟の白衣セレクトショップ【2】

ショー、ネット販売、全国展開と拡がる可能性


オーナーの藤元流八郎氏
 こうして白衣に関わっていくうちに、白衣は服飾学的に奥が深いジャンルではないかと思い始めました。そこで、杉野服飾大学に突然訪問しまして『1枚の白い布で、機能性があって、ドクターらしく見えて、なおかつかっこいいと思える白衣を作るにはどういう展開がありますか』と無理難題を吹っ掛けてみました。教授が出ていらして、それは服飾学的にも非常に興味があると仰っていただき、なんと白衣のクラスを作ってしまったんですよ。

 それがご縁で私も2回ほど白衣の講義までさせていただきました。現在、学生が白衣のデザインを始めています。12月には世界初かもしれませんが、白衣のファッションショーを開催します。国内外のメーカーさんと、大学が開発した白衣を発表して、これはというものをブランドとして出していこうという企画です。

 デザイン性と機能性を併せ持つビームスや、ドラマで東山紀之さんが着用した立襟が特徴のアシックス、現役医師の意見を反映したオリジナルブランドなどが売れ筋だが、最近、人気急上昇なのがアメリカのスマート・スクラブ社。小売りをしている店舗が国内にはほとんどないため、ドクターたちからもっと増やしてほしいという要望が寄せられており、来年以降、さらにラインナップが増える予定だ。

 白衣以外にも、靴や聴診器、マスク、消毒液、雑貨類なども販売しており、中でも大ヒットしたのが、クロックスが出している甲の部分に穴が開いていない医療現場用の『スペシャリスト』。薬品や針先から足を保護するために作られたものだが、同店での人気商品になった。

 来店できない方も多いので、ネット販売も今後は始めたいと思っていますが、対面販売があってこそ面白みがあり、直接お会いすることが大事だと思うので、あくまでサポートとしてネット販売はやりたいと思っています。

 店舗を増やさないかというお話もメーカーさんからありますが、急激に大きくするのも危険なので、まずは仕組みをしっかり作ろうと考えています。最終的に目指しているところは、白衣だけではない“理系の専門ショップ”。まだ経営体力的に在庫を持てないですが、どれも本当はもっと集めたいという気持ちはあります。

 うちにはドクターのアイディアが詰まっているので、メーカーさんからも注目を浴びています。消臭剤メーカーの社長がスプレータイプの消毒剤を作ろうということになり、実際に開発が進んでいますし、医療小物を作ろうというクリエーターさんの商品も並べています。ドクターや医学生、メディア、大学教授、メーカーなど、色々な方が集まってきて、面白い空間になりつつありますね。それだけエネルギーを店から発信しているのかなと信じていますが、もともと趣味で始めたお店なので、面白そうだったら置いてしまおうってところも実際にありますけれど・・・。

 ドクターが気軽に入ってこられる売店って感覚で、とにかくドクターが来やすい場所にしたいというのが理想です。(終わり)◆前篇はこちら◆

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