JAL再生とはダメ幹部再生だった(稲盛和夫会長)

更生計画を上回る数字を達成したJAL


稲盛和夫氏
 現在、会社更生手続き中の日本航空(JAL)の稲盛和夫会長が20日、東京都内で講演を行い、就任以来のJAL経営幹部陣のダメさ加減と、その改革の道筋を話した。その結果、当初予定を大幅に上回る「過去にないような数字」を上半期は達成。1000億円規模になったことを明かした。今後さらに経営環境は厳しさを増していくのだが、京セラ、KDDIでも実践してきた「アメーバ経営」をJALでも来年4月から導入し、乗り切っていくのだという。

経営数字は数カ月遅れでしか出てこない

 負債総額が2兆3221億円となり、事業会社としては戦後最大の経営破たんとなった日本航空(JAL)。1987年に完全民営化したナショナルフラッグだが、それまでは誰も内情を変だと感じていなかったのか、あるいは間違いだとわかってもできなかったのか。もちろん、政府と産業再生機構が会長として迎え入れた、稲盛和夫氏の目にもそれはわかった。そしてすぐに手を打つことにした。

 稲盛)私自身、航空業界はまったく素人で、しかも78歳という高齢でOKすべきかたいへん迷いました。自分の、世のため人のための利益が功利である、との人生哲学から無給で受けさせていただきました。

 2月1日に会長に就任してからというもの、最初は驚くことばかりでした。

 数字が数ヵ月遅れて出てくることは当たり前で、しかもマクロな数字しか出てきません。また、経営幹部でさえも、採算を良くするという意識がありません。さらには、どの収益の責任を誰が負っているのかということもわかりませんでした。

 本社―現場、幹部―社員など社内には一体感がなく、倒産という危機意識がないし、死に物狂いで頑張ろうという熱気さえもありませんでした。

 経営幹部たちは、数字の裏付けのなさ、慣例の踏襲、自己弁護に終始し、結論を先送りにしてばかりでした。ただ、更生計画を100%確実にやるために、厳しく注意し、5月からプログラムを開始することにしたのです。

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