サントリーがふるさと大阪へ手切れ金?

敬三氏の時代はすでにノスタルジー


佐治信忠氏
 「佐治敬三さんの時代だったら、赤字でも継続していたはず。佐治さんは、有意義な文化事業に対しては、採算度外視の姿勢だった。そんなことができるのは、サントリーが非上場会社だからだと言い切っていた」

 現・サントリーホールディングス社長の佐治信忠氏は、敬三氏の長男だが、敬三氏とはかなりキャラクターが違う。東京に居を構え、平成13年のサントリー社長就任以来、東京シフトを強めてきた。

 営業戦略としては仕方のないことだが、従兄弟であり前社長だった鳥井信一郎氏が関西財界に協力的だったことと比べても、かなりキャラが違う。「信忠氏に関西財界で役を引き受けてほしいと何回も打診したが、すべてことわられた」(財界幹部)という。

 父、敬三氏は、大阪商工会議所の会頭を昭和60年から平成4年まで務め、大阪の顔ともいわれた経済人だった。それだけに、信忠氏の冷たさに対しては、古い関西財界関係者には思うところがあるようだ。

 サントリーグループの持ち株会社の本社は、現在も大阪にある。だが、主要な事業会社の本拠は東京であり、財界関係の頼まれごとについても、敬三氏の時代のようには、即決されることはない。

 サントリーにとっては、ミュージアムの譲渡により、毎年の赤字の悩みが解消される。「7億円の維持費をつけても、高いようで安い手切れ金だ」(70代の経済界関係者)という見方はたしかにできそうだ。

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