1日2人ずつ億万長者を生みだす中国版ナスダック

 昨年10月、中国版ナスダックとして新設されたベンチャー企業向け市場「創業板」(ベンチャー・ボード)が取引を開始した。これは中国最大規模の「快速造富機械」が世に出たと言えるだろう。創業板に一旦登録すると、小規模の企業の価値は瞬く間に上がり、名の知れない創業者の資産は倍増した。

 深セン証券取引所によると現在までに134企業が上場し、時価総額は合計6000億元(7兆2600億円)近くに上っている。一年前には28企業の登録で時価総額は1399.7億元(約1兆7000億円)だったから、ごく短い間に「創業板」上場企業の総市場価値は400%以上増加したことになる。東証マザーズの時価総額1兆663億円、東証第二部の時価総額3兆2025億円をあっという間に上回ってしまった。

 創業板億万長者の数は500人を超え、このうち資産10億元以上の人は73人に上る。1000万元級の人は1000人近い。この1年間で創業板は毎日平均2人の億万長者を“生産”していた計算だ。

 新設以降、最も資産が増えたのは9月28日に上場したバイオ製品開発会社「重慶智飛生物」の蒋仁排(しょう じんはい)氏だ。株価は総額87.38億元(約1050億円)で、上場後1カ月の間に3億元増加した。第2位は太陽光パネルなどを研究開発している「向日葵光能科技」の呉建龍(ご けんりゅう)氏で74.61億元(約903億円)。「楽普医療」の蒲忠傑(ほ ちゅうけつ)氏が66.40億元(約894億円)で第3位だった。

 中原証券の創業板アナリストは「創業板が開始したがかりの頃は上場企業が少なく資金の需要が大きかったために、実際の価格以上の値がついてしまった。今後市場が落ち着くにつれて、こうした“ねじれ”は解消されていくだろう」と話している。

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