横浜ベイスターズ買収よりもおいしい結果

 プロ野球横浜ベイスターズの買収問題で、住生活グループは27日、TBSホールディングスとの交渉が合意に至らず、買収を断念したことを発表した。本拠地移転や売却額などの条件で折り合いがつかなかったとされるが、では、今回の買収騒動で最も得をしたのは誰なのか? それは、交渉打ち切りで結果的においしい思いをした住生活グループだ。

 住生活グループが同球団買収のために必要な額は約130億円で、さらに買収後は運営費用の収支の結果、毎年約40億円の赤字が出ると見られていた。毎年多額の負債を出す球団経営は、体力がある大企業にとっても、手を出すのはハイリスク。住生活グループは球団経営から出る赤字は広告費と割り切り、その効果は400億円以上と試算していた。

 しかし、結局交渉は決裂。だが、今回の買収騒動で最も得をしたのは、やはり球界参入に手を挙げたことで一躍有名になった住生活グループだろう。買収断念となっても、それで同社が失ったものは何もなく、逆に世間での認知度を飛躍的に高め、宣伝費をかけないで社名を売ることに成功した。例え球団獲得が失敗に終わったとしても、球界参入に手を挙げること自体、企業にとっては大きなメリットがあることなのだ。

 これと同様のことは、ライブドアの堀江貴文元社長による、2004年の大阪近鉄バファローズ買収騒動の時にもあった。それまで知名度がゼロに等しかったライブドアと堀江氏が突然、テレビなどのメディアに一斉に露出しだし、全国的知名度を獲得。一部メディアのスクープで明らかになったため、売名行為ではとの憶測も飛び交ったが、堀江氏は当時「買収は以前から検討していたこと、球団買収で売名しようなどとは思わない」と語っていた。しかし、結局買収に失敗したとは言え、社名を上げるという意味では大成功した。

 住生活グループも、もちろん売名ではなく、本気でプロ野球参入を目指していただろう。球界参入は成功不成功に関わらず、手を挙げた企業の世間的知名度を高めることに繋がるビッグチャンスなのだ。

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