選考では本人だと誰も気づかず?
あまりの段取りの良さに「デキレース」という疑念が出るのは仕方がないだろう。ポプラ社によると、6月30日が応募締め切りで、水嶋さんは同23日に提出。しかも、本名の齋藤智裕ではなく、「齋藤智」というペンネームで応募していたという。
選考事務局も「ペンネームだったので、本人とは知らずに、10月25日の最終選考の時でさえも誰もわからなかった。わかったのは10月27日に初めて対面した時だった」と説明した。
また坂井社長も「水嶋さんという俳優のことを知らないし、顔、どんな人かも知らなかった。副社長もそうだったし、本人が作家に転身するということも知らなかった」とした。
今年に入ってからは目立った俳優活動をしていなかった水嶋さん。もしかすると入念な準備をしていたのだろうか。背後に何か事情があるのだろうか。「すでに用意していたのか? 作家の才能があるとは誰も思っていなかったし…」(芸能関係者)。
ただ、背後の事情は置いておいても好意的にとらえれば、出版業界、とりわけポプラ社は「金のなる木」を、「やる前から負けが決まっている」(出版関係者)という文芸ジャンルで見つけたことは、明るい話題だ。