水嶋ヒロさんは出版業界を潤す「金のなる木」

賞金2000万円は辞退でノーリスク

 出版業界は2009年の書籍・雑誌の推定販売金額が2兆円を割り込んだ。これは実に21年ぶりのこと(出版科学研究所調べ)。1989年から「2兆円産業」と言われてきた業界だが、昨年は170誌以上が休刊に追い込まれ、しかも今年2010年も明るい話題は多くない。何か少しでも明るい話題が欲しいのだが、水嶋さんは俳優時代、特に若い女性に人気が絶大だったために、文芸という不人気ジャンルに新しいブームを作る可能性さえある。


報道陣の呼びかけにも応じず 退場する水嶋ヒロさん
 そんな高揚した雰囲気が流れるポプラ社(東京・新宿区)の会見場に、全身黒の衣装で登場した水嶋さん。登壇しての第一声が「すべての皆様を驚かせてしまい、たいへん申し訳ございませんでした」という謝罪。その後、前事務所とは円満退社であることを長々と話し始めるなど、作品のことには触れなかった。

 その上で「命と言うもっとも大切なテーマを基にして物づくり活動をしてまいりたいと思います」と抱負を語った。会見で質疑応答はなかったが、フォトセッションでの呼びかけにも一切応じず、妻・綾香さんが受賞を喜んでいるかどうかということについてのみ、無言でうなずいた。

 今回、水嶋さんには大賞賞金2000万円が贈られるはずが、本人は辞退した。発売時期は未定だが、今から楽しみにしているファン、そして何より業界関係者は多いだろう。

 坂井社長は「先の読めない時代だけに、先の読める話を…」と選考の過程のことを話したのだが、先の見えない不況なのである程度計算できる話で、という風に聞こえてしまう。

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