世界の株式市場に大きな地殻変動
たとえば、日本の株式市場は2005年こそ約40%も大きく上昇したが、ライブドアショック以後は一部の国際優良株を除いてさっぱり上昇しない。他の米国市場や中国市場が最高値を更新している中で、日本の株式市場だけが世界から取り残されている。それは、国際三大市場のひとつと言われた日本市場が、徐々にその地位を手放しつつあるからだ。
2005年の株式市場が大きく上昇した背景には、外国人投資家の存在がある。今や日本に限らず、グローバルな市場として開かれているマーケットであれば、どの株式市場でも外国人投資家の存在は無視できない。日本市場も売買取引ベースではすでに外国人投資家が5割を超えている。それだけ株式市場は、国際化が進んでいる。しかし、日本市場はやっと2007年 5月になって三角合併を解禁させるなど、規制緩和が遅れている。
さらに、ライブドアショックを境にして新興市場などで、決算に対して不信感が募り、株価はピーク時の3分の1にまで下落した。史上空前の好決算をあげているにもかかわらず、株価はさっぱり上昇しない。そんな状態が続いているのだ。
アジア新興国の株式市場の順調な成長
こうしたBRICs諸国だけでなく、ベトナム、タイ、インドネシアといったアジアの国々も順調な経済成長を遂げ、株価もそれに応じて上昇しつつある。アジア株急騰の背景には、日本株に投資していた外国人投資家の多くが、日本株から香港市場やシンガポール市場にシフトしていることが指摘されている。日本市場よりも、株価の上昇余地が大きな新興市場に、投資家が移動しつつある面は否定できない。
こうした傾向は、日本に住むわれわれも意識する必要があるだろう。日本経済は堅調に推移しているとはいえ、少子高齢化の影響がすでに形となって現れつつあり、株式市場が順調に拡大していくとは考えにくい。一部の国際優良銘柄は上昇するかもしれないが、それ以外の企業の株式は上昇しない可能性が高い。
世界の投資家から見放されつつある日本市場
中国やインドでは、いわゆる中流階級人口が凄まじい勢いで増えつつある。今後、1億人、2億人という単位で中流人口が増加すれば、経済のパイは確実に拡大していく。そこに、経済成長の下地があるし、世界中の投資家が注目する理由もある。
極端な言い方をすれば、人口が減少し、高齢化が進む日本市場は、残念ながら世界の投資家から徐々に見放されつつある。今後は、日本以外の株式市場にも積極的に目を向ける必要性が高まっている。
海外の証券会社から現地の株式を購入
さらに、銀行口座を開設しても、実は投資信託や株式の個別銘柄の取引を取り扱っていなかったり、取り扱っていても直接現地に行って、担当者と面接をしてそのリスクを理解しているかどうか、英語での面接が必要だったりする。そういう意味では、最初から株式の売買を目的に口座を開設する証券会社のほうが確実というわけだ。
(『海外金融商品&預金・証券口座徹底ガイド』に掲載)
取材協力:岩崎博充(いわさき・ひろみつ)
1952 年長野県生まれ。金融・経済・国際問題を専門とする経済ジャーナリスト。雑誌編集者等を経て、1982年より独立。経済、金融などに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。著書に『「団塊老人」は勝ち逃げできない』(扶桑社)、『海外預金口座の解説活用徹底ガイド』(日本実業出版社)、『インフレ襲来!資産崩壊に勝つ投資術』(アートデイズ)、『「格付け」市場を読む』(光文社新書)などがある。