お金持ちの「趣味」は投資・資産運用

 日本のお金持ちの「趣味」にはどのような傾向があるのか? 高級外車を何台も保有し、休日には豪華なクルーザーで優雅にクルージングを楽しみ……というイメージが一般的には強いが、実態は異なる。

 野村総合研究所が行った「富裕層に関するライフスタイル調査」(2005年)によると、「あなたの趣味や好きなものは何か」を聞いたところ、「投資・資産運用」が40.5%で圧倒的なトップになった。以下、2位「美術品・アンティークの収集」16.9%、3位「時計・宝飾品の収集」12.8%、4位「クルマの収集」9.0%、5位「ワインの収集」4.8%と続く。2位の「美術品・アンティークの収集」も、基本的には個人の好みの問題とはいえ、「投資・資産運用」の色彩が濃い。

 同志社大学の橘木俊詔教授は著書『新・日本のお金持ち研究』(日本経済出版社、森剛志氏と共著)の中で以下のように指摘している。

 「一般の人々がイメージとして抱く、豪華絢爛とした富裕層のライフスタイルとは異なり、本物のお金持ちの実生活は地味なものである。彼らは中古の国産車にのり、目立たない生活をしている人が多く、なかなか正体を現さない。そのため、高級ブランドを立ち上げて、富裕層をターゲットにしてみたところで、富裕層よりもむしろ、富裕層に憧れる中流階級の人々が購買する確率が高いのである」

 「また、今後はインターネットなどを駆使して情報を幅広く収集する新世代富裕層へと、富裕層の〝世代交代〟が進むことも考慮しておく必要がある。現役時代にネットによる情報収集を習得している若年富裕層は、徹底的に情報を検索し、適正な価格で消費を行おうとする。こうした情報収集に長けた富裕層が今後着実に増大するのはほぼ間違いない」

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