短命過ぎる中国の建築物

 中国では街のシンボルとして作られたような建築物が、30年も経たないうちに次々と取り壊されている。その結果、多くの資源の無駄に使われ、その都市の歴史が消えていっている。

 例えば、2006年には青島市の有名スポットとなっていた青島大酒店が築年数20年で爆破・解体された。2009年には建築当時アジア最大のドーム型建物といわれた瀋陽夏宮が築年数わずか15年で、たった2秒間のうちに廃墟となった。この建物はおよそ2億元(約26億円)をかけて建築されたものだ。その後も次々とこうしたシンボル的な建造物は解体されており、今年5月には北京市中心部・建国門にある築20年の凱菜大酒店の取り壊しが発表された。このホテルはオリンピックで政府関係者を接待するために、数千万元を費やしてリフォームしたばかりの建物だった。こうした有名な建物以外にも、一般的な住宅など数え切れないほどの建造物が建設後、数年のうちに取り壊されている。

 中国で毎年新しく着工される建物の面積は20億平米に上り建築される建物の数は世界最大だという。だが、その平均寿命はわずか25年から30年だ。国が定めた規則では、重要な建築物などの耐震年数は100年、一般的なものでも50年から100年となっている。

 「壊しては建て、建てては壊す」ことが繰り返されている中国は、2つの世界一を手に入れたと言える。一つは世界一のコンクリートと鋼材の消費国、そしてもう一つは世界一の建築廃棄物の産出国という肩書。毎年排出される建築廃棄物は4億トンに上り、廃棄物全体量の30%~40%にまで上るという。

 どうして中国の建築物の寿命は短いのか?様々な原因が考えられるが、一つには地方政府が土地の売却益を得るために、容易に再開発の許可を出していることが上げられる。例えば2007年には築年数わずか13年で浙江大学原湖濱校区3号楼が解体されたが、その跡地は24.6億元(約300億円)で取引され商業開発された。この他、悪質なコンクリートの多用など建築物の品質に問題があることも大きな理由と考えられる。最近も、北京市が建築物の品質に重大な問題があるとして、完成したばかりの建物の取り壊しをある企業に求めた。

 建築物の寿命が短いというのは、資源・資金の無駄だけでなく、その都市の歴史が失われていくことになる。中国不動産協会会長の劉志峰氏は「私たちは民族発展の記憶をどう後世に伝えていったらよいのか」と嘆く。

 こうした中国と比べてヨーロッパ等の先進国では建築寿命は長い。イギリス、フランス、アメリカの建築物平均使用寿命はそれぞれ、125年、85年、80年となっており、街中で築100年の建物を目にすることは珍しいことではない。

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