切り上げ期待の人民元預金に妙味

 今や通貨の世界でその存在感を高め、世界の耳目を集める人民元。当然、投資家の関心も高い。中国人民銀行はこの6月、「人民元相場の弾力性を高める」として、事実上の人民元切り上げ再開を発表。その後に人民元相場は対ドルで6.8元前後から6.7元前後まで約2%上昇したが、他の新興国通貨が大きく上昇しているのと比べればそのペースは緩やか。上昇ペースが極めて緩やかな分だけ、将来的な上昇余地を残していると言える。

 そこで、株や債券とは違い、外貨での元本が確保される人民元の預金に着目。国内では少ないサービス提供機関である英系金融機関のHSBCを訪ね、人民元預金に大きな魅力が潜んでいることを確認した。

 対中国の大幅な貿易赤字で苦しむ米国は、今後も「人民元は依然として割安で、不当に輸出を増やしている」と、一段の切り上げを迫ることは確実。大きな政治力をもつ全米製造業者協会は、人民元は対ドルレートで約40%過小評価されていると主張している。一方で、中国は米国債の最大のお得意様。あまり強硬な態度をとるとお得意様の機嫌を損ねる懸念もあるが、国際世論にいつまでも抗し切れるほど中国国内も一枚岩ではない。
 
 日本国内で人民元預金ができる金融機関は極めて限られるが、世界最大級の金融機関HSBCが10月12日にサービスを開始。同行への預け入れ預金等の月間平均残高が1000万円相当額以上で、「HSBCプレミア口座」を開設している預金者が対象。普通預金と定期預金(1、2、3カ月)が用意されており、金利は10月現在で0.3~0.5%となっている。

 同行ウエルスマネジメント部の楠瀬友成シニア・バイス・プレジントは「まだ人民元の流動性が低いことには注意が必要だが中国経済の成長力は長期的にも非常に魅力的」と語る。

 もちろん相場の先行きについて、現時点で確かなことは言えない。中国経済がさらに実力を付けるほど、いつかは切り上げられる可能性が高いが、それがいつかは断言できない。ただし「いつかは切り上げ」を期待して、資金を寝かせるつもりで長期投資を決め込むのなら、人民元預金は今や分散投資に欠かせない選択肢の一つと言えるだろう。

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