消え去らない疫病神「ユーロ」への不安

 このところ回復傾向にあるユーロ相場。ユーロ安への懸念は、すでに払しょくされたのだろうか? 足元では対ドルで1.40前後、対円では114円前後と堅調に推移している。しかし、まだ多くの投資家が財政問題に懸念を抱き、ユーロ相場の堅調維持にも懐疑的だ。

 バークレイズ・キャピタル証券が行った「日本人投資家の外債市場サーベイ」(10月28日)によると、「多くの投資家はユーロの適正水準を1.30程度」と判断している。サーベイによると、「欧州のソブリン危機は一段落したと考えるか」との質問に対し、「あまりそう思わない」が56.1%、「ある程度そう思う」が39.0%、「まったくそう思わない」が2.4%と、否定的な回答が肯定的な回答を大幅に上回った。

 次に「ユーロ圏各国の財政緊縮策を来年のダウンサイド・リスクとして懸念するか」については「(かなり/ある程度)そう思う」が85.3%と大半を占めた。また「ファンダメンタルズからみたユーロ/ドル相場の適正水準」については「1.30~1.39」との回答が39.0%で最も多く、「1.20~1.29」(31.7%)、「1.40~1.49」(12.2%)が続いた。

 投資家は欧州のソブリン・リスクが収束したかどうかについては半信半疑で、相次ぎ発表されている財政緊縮策がユーロ圏経済に悪影響を及ぼすと判断している。サーベイの結果から判断すると、投資家はユーロ相場の最近の上昇は行き過ぎと考えていると言えそうだ。
 
 おりしも11月以降、欧州の金融市場では、財政再建に苦しむギリシャやアイルランド、ポルトガルなどの国債利回りが急上昇。利回り上昇は各国の今後の国債発行の足かせになりかねず、欧州財政問題への警戒感が再び強まってきたようだ。

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