中国では空が富豪たちの遊び場になる

 「近い将来、飛行機に乗って通勤し、遊びに出掛け、買い物をするというのも夢ではないかもしれない」

 こう期待に胸を膨らませているのは中国の富豪たちだ。中国ではこのほど、「わが国低空空域管理改革にかんする意見」の中で瀋陽と杭州2つの地域で、試験的に1000メートル以下の低空域を開放することを明らかにした。時期が熟せば全国に拡大していく方針だという。また4000メートル以下の空域に関しては、その都度書類を提出し許可を取る必要はなくなり、登録制を導入する予定だ。

 これまで、中国では国や民間航空会社以外の飛行機の運航は認めていなかったが、裕福な人々がプライベートジェット機を購入し許可なく「空の散歩」を楽しむといった例が増えていた。これがしばしば、「未確認飛行物体の出現」となり航空便の発着に影響が出ていたが、やっとルールの制定をしたというわけだ。一方低空域の開放で、航空関連産業の市場の拡大を期待する声が大きい。

 2000年以降、中国ではプライベートジェット機への需要が増え続けている、販売台数は2008年が8機、2009年が15機と増加した。さらに2010年には20機を超える見通しとなっている。中国の億万長者の数は5,5万人いるとされる。低空域の開放が後押しとなって、今後10年間で全国20%の富豪がプライベートジェット機を買ったとすると、需要は1,1万機ある計算。一台1000万元(1億2000万円)と見積もっても、プライベートジェット機市場は運航・修繕費などをあわせて1300億元以上(約1兆6000万円)になると考えられる。また専門家の間では、一兆元(約12兆4000万円)を超える市場が出現するとの見方もある。

 現在、プライベートジェット機の保有量はアメリカが55%を占め約2万機、その次がヨーロッパで21%、アジア太平洋地域が11%を占めるという。中国はまだまだ出遅れているが、ネックとなっていた低空空域の開放政策が取られたことで、今後の見通しは良好だ。

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