長寿の秘訣は免疫力を向上する食べ物

 ヨーロッパ東部の黒海とカスピ海に囲まれたコーカサス地方では、100歳を超える長老がかくしゃくとして一族を仕切っている。『120歳まで元気で長生きできる―コーカサス長寿村探訪記』(善本社)まで出版されているくらいで長寿が多い地方なのだろう。では、その秘密は何か? どうやらその食生活に一端がありそうだ。

 長寿の研究で有名な京都大学の家森幸男名誉教授は、WHO(世界保健機構)の協力を得てコーカサス地方での調査をした。そこで村人が毎日食べている食事のサンプルを集めたところ、いくつものヨーグルトが集まり、栄養分析のために持ち帰った。家森氏が分析の残りを自家製で食べ続け、そのうち人づてに株分けされ、いつしか日本中に広まっていったのが、その名も「カスピ海ヨーグルト」だ。

 コーカサス地方ではどの家庭も昼夜を問わずヨーグルトを食べるが、量は一回あたりどんぶり一杯分。日本の漬物のように各家庭で代々の味が大切に受け継がれているという。この地方のヨーグルトの特徴は、常温で雑菌を繁殖させないで発酵が進む乳酸菌にある。そうした乳酸菌でつくるヨーグルトなので、手軽に各家庭で代々伝えることができたわけだ。

 研究を続けた結果、このヨーグルトの成分を取り続けると、インターフェロンという免疫物質の一つの働きが活発になっていることがわかった。免疫力がアップすると感染症にかかりにくくなり、がんも防ぐことが期待できる。このヨーグルトが長寿の秘密である可能性が、学術的にも徐々に明らかにされつつある。

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