陽光が降り注ぐ、シチリアの世界遺産を巡る旅【後半】

11月のシチリアは20度を超えていた。

車窓から見えるのは、陽光を浴びるオリーブ、レモン、オレンジの木と、ぶどう畑。
果実畑にまざり、時々見えたのは、なんとサボテンの畑。

シチリア島では古くからサボテンの実を食べるが、現在ではこれを原料にリキュール、ジャムなどが作られ「珍味」として世界中に輸出されるそうです。

シチリアの2日目はパレルモ、モンレアーレ、アグリジェントの見学です。

パレルモのカテドラーレ

タオルミーナからパレルモへは車で3時間。
パレルモのカテドラーレはシチリア・ノルマン様式での創建が1184年。
その後の増改築によりイスラム色が濃くなり、結局は折衷様式となって現在に残った。
写真のように壮大なカテドラーレです。



この内部の白い装飾は外観と違和感があり、ちょっと予想外でしたが、自然と厳かな気分になります。


中央の丸屋根を内部から見あげたアングルです。
奥行きも深いけれど、高さも相当あります。

パレルモのパラティーナ礼拝堂

1132年から1140年にかけての建造。
このモザイク画はコンスタンティノーブル、ラヴェンナと並び、キリスト教美術の最大傑作と称されています。



中央のキリストのお顔。
こんなにマジマジとキリストのお顔を見たのは初めてです。


クープラの円蓋にも宗教画が描かれています。


床も含めて周囲の全てがモザイク画で、まるでモザイクのプラネタリウム。


極端な話、このパラティーナ礼拝堂を見るだけでも、シチリアに来る価値があります。

モンレアーレ

パレルモから30分です。
12世紀に造られたドゥオーモの内部。
ここにも手を広げているキリストのモザイク画がありました。
パタティーナ礼拝堂のモザイク画と似てますが、こちらのモザイク画の方がはるかに巨大です。
シーンとした暗いドゥオーモの中で、心をうたれました。



隣にある回廊付き中庭です。
228本の円柱により回廊が組まれています。
この瞬間、この広い回廊にいたのは私だけ。
至福の時間でした。


噴水の手前から、それぞれ異なった模様のモザイクの円柱を1人で眺めていると、12世紀の空間に入り込んだ気分になります。
この円柱回廊は一生忘れることがないでしょう。


写真はモンレアーレから望むパレルモの町並みです。


モンレアーレも素晴らしいの一言です。
世界遺産911件のうち、イタリアだけで既に45件も指定されているため、「地域的に偏りすぎてるのではないか」という意見があります。
モンレアーレはそういう事情もあり、世界遺産ではありませんが、他の遺産と比較しても、世界遺産に選考されてしかるべき普遍的な価値があると思います。

アグリジェント(世界遺産)

アグリジェントはモンレアーレから2時間の距離。
この神殿は紀元前450年から440年にかけて建てられたコンコルディア神殿です。



全面6柱、側面13柱がほぼ完全な形で残っていて、遠くから見ても近くから見ても、整った美しい神殿です。


アテネのパルテノン神殿と違い、アグリジェントは複数の神殿が点在する「神殿の谷」となっています。
時間をかけてゆっくりと、神殿から神殿へと歩きました。
写真はアグリジェントの街を望む景色です。


夕方、タオルミーナに戻り、夕食後に街の夜景を撮りました。


歩いた歩数は14,335歩、本日の世界遺産はアグリジェントの1件だけですが、昨日の3件と合わせるとシチリア島内の全世界遺産(4か所)を訪問したことになります。

シチリア3日目はタオルミーナで過ごしました。

タオルミーナ

今日は海に雲が無く、太陽が水平線から直接出てきました。
今日の日の出が三日間で一番です(笑)



4階のレストランに行くと、いつも雲に覆われて見えなかったエトナ山の山頂が初めて見えました。
雪に覆われていますが、地元の人たちは冬になると、ここでスキーをするそうです。


最初にタオルミーナのギリシャ劇場に行きました。
紀元3世紀のものですが、丘の窪みを利用して観客席が高く造られています。


観客席の一番上に来ると、背景にエトナ山が見えます。
まさに絶景です。


遺跡のレンガの間から見える地中海とタオルミーナの街。


街からも遠くに見える尖った山ですが、ここからは山頂の民家も見えます。


写真は地中海ですが、真ん中あたりにボーッと見えるのがイタリア半島です。
半島は隣のメッシーナの町から4キロなので、天気のいい日は肉眼で見えるわけです。


ギリシャ劇場を出て、ウンベルト一世大通りを歩きました。
ウンベルト一世大通りと言っても、普通の路地でした(笑)。


4月9日広場です。
教会と青い空が眩しい。


ここで時間切れとなり、ホテルに戻って、パッキングをして、ローマに向かいました。

ローマのボルゲーゼ美術館の17時から19時の見学をネットで予約してたのですが、アリタリアの便が遅延せず、荷物もちゃんと出てきたので、昼からの移動でも何とか間に合いました。

次回は「ローマでの美術散歩」をお届けします。

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