きょうから始める「慶応幼稚舎」合格対策

 お受験の頂点にある「慶応幼稚舎」への受験準備に、始めるのが早すぎるということはない。一朝一夕では対応できない準備が必要で、今一度入試対策をおさらいしておく。

 入試問題は筆記試験はなく、1.制作、2.行動観察、3.模倣体操、4.サーキット運動の4つ。小学校受験対策サイト「お受験じょうほう」を運営するバレクセルの野倉学代表は、「試されるのは受験者の『知・徳・体』と『学習能力や意欲』『集団生活への適応力』。ペーパーテストと違って付け焼刃の準備は効かず、高倍率とも相まって、合格点を取るのは非常に難しい試験になっている」と語す。

 まず、1.制作は、2008年度ではボディー(人台)に着ける「冒険服」「旅行服」をつくるという課題が出題された。これは、自然体験や生活経験をベースに、5~6歳なりの経験と知識を基に自分なりのイメージを膨らませて制作にあたれ、ということ、子どもが背景にもつ家庭の教育や文化・教養、自分らしさを問われているのだ。

 絵画や造形は子どもの内面や生活をよく反映する。そこから確かめられるのは「表現力」や「独創性」だけでなく、「緻密さ」「立体の理解や思考力」「日頃の観察力」「興味・関心」「元気の良さ」「自信の程度」「家庭の様子」などだ。

 次に2.行動観察は、グループで絵画や造形などの共同作業を行う。「コミュニケーション力」や「協調性」「リーダーシップ」「意欲」「子どもの性格・資質」「しつけ」をみるのが目的。ぶっつけ本番で、初対面の子どもと一緒に行動しなければならない。「コミュニケーション力」や「協調性」を意識的に発揮するのは無理なので、行動の中に受験者の〝素〟が表れる。

 最後に3.模倣体操、4.サーキット運動は、指示に従い同じ動作をしたり、一連の運動を行う。頭と体を同時に使い「実際にやってみると、大人でもちょっとまごついてしまう」(野倉氏)。ここで試されるのは「言葉の理解力」「記憶力や集中力」「リズム感やバランス感覚」「腕や脚の力」「跳躍力」「ボールを投げたり受けためたりする能力」「走る能力」など、知能と身体の発達を総合的にみることができる。

 出題で試されるが「その共通した狙いは受験者の『独立自尊』を確かめること」(野倉氏)。それは、「自分の置かれた環境・条件の中で、課題を見出し、自らの創意を発揮して一生懸命解決しようとする能力・意欲」とも言い換えられる。

 ただし、「幼稚舎では自立心や落ち着きのある賢い子どもを求めているが、それは〝無邪気さ〟をなくした子どもと同義ではない。そのあたりのバランスを保つのが難しいところ」(野倉氏)。

 そして最後に野倉氏は受験対策上の注意点として、以下のポイントを指摘した。
先生に質問されたら、作業の手を止め、先生の目をみて答える。ただし、大切なのは自分なりの言葉や手段で伝えようとすること。言葉遣いや態度を気にしすぎるあまり、自分らしさを失い萎縮してしまわないようにする。
模倣体操ではリズム感やバランス感覚など、基本の体操技能のほかに、臆せず踊れるか、ポーズをとれるかなど、自己表現力も試される。
試験を待っている間や、ほかの受験者が発表しているときの態度にも注意する。自分が終わった後も同様、ほかのグループが発表しているときは称える気持ちでよく見る。
入試の準備として、多くの家庭では模試を数回受けている。指示行動や集中力などを訓練するためにはこのような準備もしておいたほうがよい。

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