ダイキン「空調世界一」目前で言われる不安

世界一の悲願は目前


ダイキン工業の本社が入るビル (左)と同社の屋外広告(右)
 「ぴちょんくん」のエアコンで知られるダイキン工業(大阪市北区)が、空調で世界一メーカーになるところまで、あと一歩に迫っている。米グッドマン・グローバル(テキサス州)を買収する交渉が表面化。実現すれば、米ユナイテッド・テクノロジーズ傘下のキヤリア(コネティカット州)を抜き、世界首位になる。ダイキンと同社の井上礼之(のりゆき)会長にとって、「空調世界一」は悲願だけに、交渉の成否が注目されている。

 グッドマンの買収交渉は、同社株を保有している米ファンド、ヘルマン・アンド・フリードマン(カリフォルニア州)と行っている。今年5月ごろからスタートしたが、交渉は一時、頓挫した。ヘルマンは2008年、グッドマンを26億ドルで買収しており、それを超える額を提示したものの、「大幅な上乗せが難しかった」(銀行関係者)ためだ。

 11月に入って交渉が再開。1ドル=80円台前半に迫る円高が進んだことで、ドルベースの提示額が上昇したことが幸いした。現在のダイキンの提示額は、日本円で3000億円を超えているもようだ。

 買収契約が実現すれば、ダイキンの空調売上高は1兆円を超え、世界首位のキヤリアを抜く。井上会長が社長に就任した1994年に掲げられた目標が、いよいよ達成される。

 しかし、ダイキンが世界一を達成すると同時に最大の不安が噴出する。

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