忍び寄る「スペイン危機」の足音

  ユーロ相場が不安定な動きを続けている。10日のニューヨーク外国為替市場では、ユーロが対ドルで下落して1ユーロ=1.3277ドルで引けた。ギリシャから、アイルランドへと波及したソブリン債危機。これが次はポルトガル、さらにはスペインにも波及することが懸念されており、まだ事態が収束する気配は見えない。

  国債の信用リスクを表すCDS(クレッジット・デフォルト・スワップ)のスプレッドは足元で、ギリシャ972bp(ベーシス・ポイント)、アイルランド598bpに続いて、ポルトガルが501bpで追随。そのあとをジワリと追っているのが、322bpのスペインだ。

  仮にスペインのおしりに火がつけば、そのインパクトは、これまでのような小国の比ではない。スペインのGDP規模は1兆4000億ドル規模。ドイツ、フランス、イタリアに次ぐ、欧州第4位の大国だ。これはギリシャの約4.4倍、ポルドガル、アイルランドの約6倍に匹敵する。しかし、その失業率は19.8%にも達し(7~9月期)、経済の停滞感は極めて強い。

  仮に、今後もドミノ倒しのような危機の連鎖が続けば、その結果はどうなるのか?

  第一生命経済研究所の田中理主任エコノミストは、「フランスやドイツなど中核国も、危機から無縁ではいられないとの認識が広がってきた。問題は、救済対象が広がるにつれて支援提供国が減少することで、残りの国の負担額が加速度的に増加する。こうした負担の増加に対して、支援提供国の国民が黙ってうなずくとは限らない」と警鐘を鳴らす。

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