中国が日本の土地・不動産を買い占める日

 「Made in China」ならぬ、「Bought in China」。中国が日本企業や日本の不動産を購入する動きが目立ち始めた。バブル期に三菱地所が米国のロックフェラーセンターを買収した際に米国人が感じた不安を、今度は日本人が中国に対して感じ始めている。

 中国は決して、日本だけを狙い撃ちにしているわけではない。2003年以降、中国の対外直接投資は増え続けており、その規模は年間500億ドルを上回るようになった。企業の積極的な海外進出や政府の奨励策から、投資の拡大は今後も続く可能性が高い。こうした中で、高い技術力やブランドを有する日本企業が無縁でいられるはずはない。

 企業だけでなく、海外の土地、不動産もターゲットの一つ。中国国内では政府が不動産投機を抑制する政策を強めており、うごめく資金は海外にあふれ出し始めている。米マンハッタンの高級マンションから、オーストラリア、韓国、カナダの不動産市場へ、そして日本も例外ではない。

 北海道の倶知安町では、中国資本が森林を大規模購入したことが話題となった。こうした中、北海道は来年度に森林の土地取引に事前届け出を求める条例を制定する方針。名目は森林と水資源の保護だが、押し寄せる中国資本に脅威を感じたことは間違いない。すでに投資目的の中国人相手に、「日本不動産ツアー」を企画する会社も存在している。

 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版は15日、香港に本拠を置く不動産投資会社「HKRインターナショナル・グループの日本法人HKRジャパン」のベン・チャ氏は「われわれは欧米資本が支配していた隙間に入りつつある。しばらくこうした傾向が続くだろう」と述べたと報じた。隙間に入り込んだ中国資本は、どこまで日本の不動産市場を買い漁り続けるのだろうか。

よかったらシェアしてね!
目次
閉じる