時節柄、2011年のいろいろな予測が出始めている。予測は超楽観論から、クライシス再来説まで千差万別だが、ある程度の傾向を読み取ることはできる。さまざまな調査機関の予測をみると、景気については「2011年春には回復軌道へ」、株価は「年末に向けて回復基調へ」、ドル円相場は「2010年と対照的に堅調な展開」というあたりが、どうやらコンセンサスと言えそうだ。
三菱東京UFJ銀行は2011年の景気について、「輸出の持ち直しにより春ごろから踊り場を脱却するだろう」と予想している。「中国の輸入に下げ止まりの兆しが出始めている」「米国は年末商戦が良好なスタートを切るなど、底堅さがみられる」「電子部品の在庫調整が進展している」「米景気の底堅さを反映して、円高圧力が後退する」などがその主な理由。
景気回復に歩調を合わせるとすれば、上昇が期待される株式市場はどうか? バークレイズ・キャピタル証券は、「最近発表された米国の一連の経済指標は、個人消費の回復を示す内容。米国における景気回復は、今後、輸出企業の業績回復に寄与する」。また、「日経平均については、輸出企業の業績回復に加えて、対ドルでの円安期待もあり、2011年末には12,000円を試す展開もありうる」としている。
このところ一服感のある円相場についてはどうか? 大和総研は「世界的にリスク選好的となることで、為替市場では低金利通貨売り・高金利通貨買いが優勢となるだろう。低金利通貨の代表格である円には売り圧力がかかり、ほぼすべての通貨に対して円安基調となることが予想される」との見解を示す。
また、大和総研は同時に「年前半を中心に。米国金利の相対的上昇がドル高圧力を生むだろう」と予測。この点については、三調査機関の見解が一致したことが注目される。