ホテル自体がコンシェルジュ、エグゼクティブのためのホテル
香港や東京のみならず、世界中のペニンシュラから選り抜きのスタッフを呼び寄せたというだけあり、そのホスピタリティは徹底している。ゲストと適度な距離を保ち、それでいてオーダーには迅速なレスポンス。ハウスキーピングのスタッフまで笑顔を絶やすことがない。もちろん、ファシリティも完璧。レストランやバーに施されたアールデコの意匠は、1920年代の往時を髣髴とさせつつ、コンテンポラリーにアレンジされている。シャネルやベルルッティ、ラルフ ローレンが入るザ・ペニンシュラアーケード、ホットストーンならぬホットバンブーを使った極上のスパも見逃せない。ついたバカンスステイとしても最適のホテルだが、ここではあえてビジネスホテルとしての機能面に触れてみたい。
宿泊した部屋は10階のグランドデラックスリバースイート。広さは100㎡で、目の前には黄浦江と対岸の東方明珠塔が広がる。大きなデスクは、ノートパソコンのほか、資料を広げても充分な広さ。もちろん、ホテル独自のWi-Fiでネット利用は自在に。備え付けのプリンターでは、ファックスの送受信、出力さらにスキャナーも可能になっている。大きなデスクの脇にはiPod用のドッキングステーションがあり、充電はもちろん、大型のSAMSUNG製ディスプレイのスピーカーで収録した音楽が楽しめる。備え付けの電話はVOIP。市内や海外への通話が無料に。また、室内の温度はもちろん、湿度調節にも対応しており、真冬といえど薄手のシャツ一枚で快適だった。
大きなドレッシングルームの奥にはバレーボックス。扉を開けて手持ちのウエアや靴を入れる6時間以内で(靴はポリッシュされ次第)、きれいに仕上げられて届く。レインシャワーブースやふたつ目のトイレがついた広めのバスルームでは、壁に埋め込まれたテレビでNHKや英国BBC、フランスのTV5(サンク)も視聴が可能だ。女性であれば、ネイルドライヤーが設置されているのもうれしい心遣いだろう。
さらに驚かされたのは帰りのトランスポーターサービス。ロールスロイス・ファントムとBMW7シリーズのうち、利用したのは後者だが、こちらも車内Wi-Fiが完備されていた。
上海滞在中、ホテルでストレスを感じることは皆無だったと断言できる。
英国のライフスタイルマガジン『Wallpaper』は、大きなサンテラスのついたプールの写真と共に、「世界最高のビジネスホテル」として称賛した。こうしたホテルが盛況となる上海という街に、昇龍のような勢いを感じざるを得ない。
◆ザ・ペニンシュラ上海
peninsula.com