相続税が上がる前にやっておくべきこと

対策の王道は「生前贈与」と「不動産購入」

 


荒巻善宏氏
 相続税に詳しい税理士法人チェスターの荒巻善宏代表は、「相続税を節約するための基本は、『生前贈与』と『不動産の購入』だ」と語る。まず、相続税の生前対策には、「遺言の作成」「金融商品の購入」「不動産の売買」「賃貸借契約の締結」「養子縁組」など、多種多様な法律行為がある。

 また税調は、若年層への資産移転を促す贈与税減税を打ち出した。20歳以上の子や孫への贈与について、2500万円まで非課税で、さらに税率を一般より5~10%下げる方針。現行は子が死亡している場合を除き、孫には生前贈与ができなかった。孫への贈与は1世代分の相続税を飛ばせるため、非常に有効な節税方法だ。

 荒巻氏は「土地の評価は千差万別で、合法的に土地の評価額を半分にすることも可能だ」と語る。たとえば、土地の形状が悪い場合には、最大で40%評価額を下げることができる「不整形地補正」などの特例がある。

 また、「相続面から考えれば、借金をしてでも不動産などを購入して、土地を活用したほうが大幅な節税につながり、相続税対策に役立つ」(荒巻氏)という。相続税の評価は土地であれば通常の時価の約80%、建物は建築価格の約60%程度。つまり現金で1億円持っていれば、相続評価額は1億円だが、1億円の土地を購入すると8000万円、1億円の建物を購入すると、60%の6000万円という評価になる。

 他にも、「賃貸アパート建築で、相続税評価額は70%になる」「『小規模宅地の特例』の条件がそろえば、相続税がなんと80%オフになる」「生前に路線価の高い土地に引っ越せば、特例による評価減額が膨らむ」「など、さまざまなテクニックがある。

 このお正月には家族・親戚が一同に会する機会も多いだろう。無用な税金を取られないために、これを機会にみんなで検討してみてはいかがだろうか。

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