第2の慶應幼稚舎ができれば、お受験界はどう変わる?

2つの慶應の合格発表はどちらが先になる?

―新慶應の試験内容はどのように変わると考えられますか?
「今までの慶應ではペーパーテストはなく、運動と制作が試験内容でしたが、これは新慶應でも変わらないと思います。しかし、プラスαとして、何か他の要素を加えてくる可能性が高いでしょう。現段階では何かはわかりませんが、必ず違うはずです。現行の入学試験でも、キラリと光る子供たちを先生方の眼力によって選抜していますが、入試傾向を同じにすれば、比較的卒業生や兄弟関係を大事にする従来の選抜方法を連想させてしまいます。新慶應では、さらに子供たちの柔軟な思考力や運動神経を試すような、テクニックではどうにもならない、その子本来の能力がよりわかるような試験が行われるのではないでしょうか。」

―試験日はどうなるでしょうか。
「現在、神奈川県の多くの私学は、解禁日である10月の第三火曜日に入試を行っています。しかし、青葉区の桐蔭学園小学部や緑区の森村学園初等部は日程をずらして、他校との併願を可能にしています。慶應が、神奈川県の他の私学に配慮して日程をずらすのか、他校の合格者から辞退者が増えることを考慮してあえて同日にしてくるのか、どちらを選択するかは不明です。また新慶應の合格発表を先にして、その後に渋谷区の慶應の合格発表を行う可能性もあります。慶應を受験する人は、2つの慶應の両方に合格したら、やはり渋谷の慶應に行きたいと思う人が多いはずです。辞退者や補欠の数などを考慮して、日程が決定されると思います。」

新慶應ができることで神奈川の私学が受ける影響

―補欠の人数は、どの程度動くものですか?
「例えば学習院は定員が男40名、女40名ですが、昨年、男の子の補欠が18番まで動きました。つまり、半分近くが他校に流れているということです。また学習院はこの10年で、補欠が20名全員繰り上がったことが2回ありました。これが何を意味するかというと、学習院はコネではなく、能力で欲しい子供をとっているということです。辞退されても構わないから欲しい子供をとる、ということ。そのため、これだけ補欠が動きます。慶應も、2つの慶應がどう前後するかで、補欠が大きく動く可能性はあります。」

―神奈川県の他校は、新慶應ができることで、受験者が流れるのではと心配しているのでしょうか。
「その心配はあまりないと思います。最初は慶應だけを考えて勉強を始めても、いざ受験になれば、それまでの努力を考えて他の私学も受けることがほとんどです。ですから、全体の受験者数は間違いなく増加するでしょう。」

 縁故のある子供たちに有利なイメージのある、現在の慶應幼稚舎。しかし、新しくできる慶應は、優秀な子供たちへさらに門戸を広げるという意味で、試験内容から従来の慶應とは一味異なったものになりそうだ。とは言え、試験で試されるのはこれまでと同じように、柔軟な思考力、好奇心の豊かさ、運動神経、創造性であることに変わりはない。愛情あふれる家庭での実体験に裏打ちされた、子供たち本来の力をいかにアピールできるか。今後小学校受験を控える親子は、2つの慶應を視野に入れた上で、子供の元々の能力をさらに伸ばす受験対策をしていく必要があるだろう。

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