雲南省といえば、プーアール茶など茶の産地として名高い。高値で取り引きされる茶を運ぶためにティー・アンド・ホース・トレイルがつくられたが、それは同時に食材や調味料をも流通させた。タイやビルマからはココナッツミルク、レモングラス、チベットからは乳製品、そこに雲南省産の野菜やキノコが取り入れられるなど、ユニークな食のフュージョンを生んだ。確かに見た目も香り、さらに独特な辛さも、中華というより東南アジアのエスニックフードに近い。
さらにこのロストヘブンが外国人、及び中国人富裕層に人気の秘密は、そのユニークな味だけではない。“少数民族”自体をコンセプトにした巧みな戦略も大きいだろう。チャイナタウンとは異なるダークなトーンの赤をベースに、内装や調度品、スタッフが着用するユニフォームに至るまで少数民族をモチーフにしたものが採用されている。実際に雲南省で撮影された写真もギャラリーに飾られ、五感で遥かな地を体験できる趣向だ。
特に中国官僚が住む高級住宅地高郵路にある一号店は、在上海の各国大使館やルイ・ヴィトンCEO主催のパーティーが開かれるなど、セレブリティたちの社交スポットとなっている。観光であれ、ビジネスであれ、上海を訪れるなら、予約必須の注目店だ。
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