ドル円は80円台で一進一退、ユーロ安が進行か

 2011年の外国為替市場はどのような展開になるのか。さまざまな要因が絡み合うだけに長期の予想はむずかしいが、このたび日本総合研究所は「為替相場展望」の中で2011年の見通しを公表した。それによると「ドル円相場は80円台で一進一退」、「ユーロは対ドルでも対円でも下落する」との見通しとなった。
 
 レポートによると、ドル円は2011年を通して80円台を中心とした一進一退が続く見通し。ドル安要因としては、1)米国は2011年中の力強い景気回復・利上げ開始は期待薄、2)「5年間で輸出倍増」を掲げるなど、米国当局が事実上ドル安を志向していることを指摘。

 円安要因としては、1)日本でも景気減速懸念が強まるなど、積極的な円買い材料は乏しいこと、2)一段の円高に対しては、政府・日銀が追加金融緩和や円売り介入を辞さない姿勢を示していることなどを挙げている。これらの要因が拮抗し、80円台を中心に推移するとの見方だ。

 また、ユーロ相場については、ユーロに対する信認低下・景気停滞長期化を背景に、対ドル・対円ともにユーロ安が持続する見通し。ユーロ安要因としては、1)債務問題深刻化や域内景気格差など構造問題が頻出することによるユーロの信認低下、2)ドイツをはじめとした主要国で緊縮財政が本格化し、ユーロ圏景気が日米と比較して見劣りする、3)ECBによる低金利政策の長期化、4)景気下支えに向けた欧州各国のユーロ安容認などを指摘。当面はユーロ安地合いが続く見通しとしている。

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