「盗用ではない」中国新幹線(北京―上海)6月開業

 北京と上海を結ぶ旅客専用高速鉄道(中国版新幹線)が6月に開業する。これは、劉志軍(りゅうしぐん)鉄道相が先日発表したもので、当初の定より約6カ月の前倒しとなった。7月1日の中国共産党創立90周年を控え、国威発揚を図る狙いがあるとみられる。

 北京と上海を結ぶ中国版新幹線「和諧号」の運行速度は時速380キロ。全長1318キロで東京~鹿児島間とほぼ同じ距離。これまで約10時間の道のりが4時間に短縮され、従来の2倍となる年間8000万人の旅客輸送能力を見込んでいる。日本で1964年に開業した東京―大阪間の東海道新幹線のように、北京と上海という大都市を結ぶ高速鉄道は、経済成長の屋台骨になりそうだ。

 同線の総事業費は2209億元(約2兆7000億円)に上る。ちなみに中国が独自に開発したと主張する「和諧号」は日本の新幹線をベースに作られたもの。昨年12月には最新型の和諧号で日本の新幹線(最高時速443キロ)よりも早い最高時速486.1キロを記録しており、今後は“安くて速い”鉄道として国内だけでなく東南アジア諸国にも売り出す見込みだ。こうした動きに対し技術を提供した日本企業からは非難の声が上がっているものの「存在していた技術を刷新したもので、盗用ではない」と中国側はあくまで独自開発を主張する。

 中国における高速鉄道の広がりは早い。2004年以来、総運行距離は延び続け、現在、中国国内を走る高速鉄道は8358キロと世界最長になっている。北京―上海間以外にも拠点都市を結ぶ路線が次々に開業し、今後2012年までにその距離は1.3万キロにまで延びる予定だ。さらに2020年までには高速鉄道の総運行距離は1.8万キロ以上になる見込みとなっている。

 莫大な費用をかけて高速鉄道の建設を急ぐ中国政府。だが一方で北京交通大学の教授が「財政上の潜在的リスクになる」と警告する論文を発表するなど、国内から批判の声も出始めているという。

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