吉本興業の新規事業は「天下統一」計画

 吉本興業が全国47都道府県に社員1人を採用し、さらにタレントを住まわせる計画を発表した。これまでの芸能プロダクションにはなかった事業計画。この意味するところは、実質的な「天下統一」計画だと大阪の記者は見ているようだ。

 大崎洋社長が、例年通り大阪市内で年頭の記者会見。その内容とは、地方自治体などと連携を密にして地域から魅力を発掘して芸能活動とコラボレートしていくことに、その目的はあるというのだ。そして、さらにそれを世界に発信していくという。

 そのために、所属タレントをどの地方に振り分けるかをこれから決定し、社員も各県に1人採用する。

 同社の事情に詳しい記者は「各地方のテレビ局も押さえようということだろう。東京のキー局、あとは大阪の準キー局での仕事はもうこれ以上増やすことは難しい。だが、地方局ならば、どこか特定のプロダクションの色がついているわけではない」という。

 地方局は、芸能プロとの関係も希薄なため、そこに吉本が入り込めば、ほぼ独占的に送り込める。さらに、タレント出演だけでなく、吉本は番組とイベントの制作も行っていることから、全国各地からそうした受注増も狙うことができる。

 創業家と現経営陣との間のお家騒動を解決し、株式非公開を完了。上場企業であれば株主は反対したかもしれないものの、非上場のための思い切った事業計画だ。

 とにもかくにも、4月からはこの新体制をスタートさせる予定で、まだ見ぬ芸能プロダクションの「天下統一」はすぐ目の前にきている。

よかったらシェアしてね!
目次
閉じる